「三人屋」原田ひ香著
会社員の俊生は、通勤途中、駅前商店街の閉店した喫茶店が再開したことに気づく。モーニングの看板を出していた女性につられて店に入ると、意外にも客でいっぱいだった。確かに手作りのパンやジャムもおいしいが、何よりも店主の「あさひ」が魅力的だった。
彼女を目当てに店に通うようになったある日、朝帰りして午後から出社することにした俊生は、コーヒーを飲みに立ち寄る。しかし、あさひの姿はなく、店も讃岐うどんの店になっていた。店で顔なじみになった大輔によると、あの店は3人姉妹が朝は喫茶店、昼はうどん屋、そして夜はスナックとして、それぞれが営業しており、「三人屋」と呼ばれていると教えてくれる。
訳あり3姉妹が営む店を舞台に描く連作短編集。(実業之日本社 620円+税)