「宗棍」今野敏著

公開日: 更新日:

 仲間をいじめていた乱暴者を、松村は拳で打ち負かした。それを見ていたサムレー(士族)が声をかけた。「ワン(私)に鉄拳を打ち込むことができたら、褒美をやろう」。松村は相手の腹に拳を打ち込もうとしたが、気がつくと地面に倒れていた。だが、痛くはない。その士族は有名な武士の照屋親雲上(ペーチン)だった。

 松村は父とともに照屋を訪ねて弟子入りし、照屋に手(戦いの技)を学ぶ。やがて元服して宗棍と名乗るようになるが、ある日、仲間から与那原の鶴(チルー)の噂を聞いた。地頭代の娘で、手が強く、地元の男衆が誰も勝てない。地頭代は、勝った男に嫁にやってもいいと言う。

 琉球空手の礎を築いた松村宗棍の生涯を描く長編小説。

(集英社 2090円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  5. 5

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  1. 6

    兵庫県・斎藤元彦知事らを待ち受ける検察審の壁…嫌疑不十分で不起訴も「一件落着」にはまだ早い

  2. 7

    カズレーザーは埼玉県立熊谷高校、二階堂ふみは都立八潮高校からそれぞれ同志社と慶応に進学

  3. 8

    日本の刑事裁判では被告人の尊厳が守られていない

  4. 9

    1試合で「勝利」と「セーブ」を同時達成 プロ野球でたった1度きり、永遠に破られない怪記録

  5. 10

    加速する「黒字リストラ」…早期・希望退職6年ぶり高水準、人手不足でも関係なし