「介護する人される人 心に届く介護力」佐藤典子著

公開日: 更新日:

 バイクの事故で脊椎を損傷し、寝たきりになったSさん。自宅で介護を受けていたが、「何にもできない。もう死んでしまいたい」と訴える。

 長男の嫁のK子さんは、Sさんが「戦地から無事帰還できたときに、故郷の満開の桜を見て、初めて生きのびたんだなあとつくづくうれしさが込みあげてきたもんだよ」と言ったのを思い出し、リハビリの目標を「座れる」ではなく「近くの公園に花見に行く」にした。

 Sさんは気力を取り戻してリハビリに励み、3カ月後、近くの公園に花見に出かけた。このときには車椅子に30分くらい座れるようになっていた。

 介護する人もされる人も充足感を感じられるケアの実例集。

(青萠堂 1100円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本は強い国か…「障害者年金」を半分に減額とは

  2. 2

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  5. 5

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  1. 6

    侍Jで加速する「チーム大谷」…国内組で浮上する“後方支援”要員の投打ベテラン

  2. 7

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」