「介護する人される人 心に届く介護力」佐藤典子著

公開日: 更新日:

 バイクの事故で脊椎を損傷し、寝たきりになったSさん。自宅で介護を受けていたが、「何にもできない。もう死んでしまいたい」と訴える。

 長男の嫁のK子さんは、Sさんが「戦地から無事帰還できたときに、故郷の満開の桜を見て、初めて生きのびたんだなあとつくづくうれしさが込みあげてきたもんだよ」と言ったのを思い出し、リハビリの目標を「座れる」ではなく「近くの公園に花見に行く」にした。

 Sさんは気力を取り戻してリハビリに励み、3カ月後、近くの公園に花見に出かけた。このときには車椅子に30分くらい座れるようになっていた。

 介護する人もされる人も充足感を感じられるケアの実例集。

(青萠堂 1100円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    秋季関東大会で横浜高と再戦浮上、27連勝を止めた「今春の1勝」は半年を経てどう作用するか

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    公明票消失で自民衆院「東京選挙区」が全滅危機…「萩生田だけは勘弁ならねぇ」の遺恨消えず

  4. 4

    星野監督時代は「陣形」が存在、いまでは考えられない乱闘の内幕

  5. 5

    「自維連立政権」爆誕へ吉村代表は前のめりも、早くも漂う崩壊の兆し…進次郎推しから“宗旨変え”

  1. 6

    ドジャース大谷翔平が直面する米国人の「差別的敵愾心」…米野球専門誌はMVPに選ばず

  2. 7

    国民民主党・玉木代表「維新連立入り」観測に焦りまくり…“男の嫉妬”が見苦しすぎる

  3. 8

    自民「聞いてないよォ」、国民・玉木氏「どうぞどうぞ」…首相指名の行方はダチョウ倶楽部のコント芸の様相

  4. 9

    号泣の渋野日向子に「スイングより、歩き方から見直せ!」スポーツサイエンスの第一人者が指摘

  5. 10

    「ガルベスと牛乳で仲直りしよう」…大豊泰昭さんの提案を断固拒否してそれっきり