著者のコラム一覧
柚月裕子

1968年、岩手県生まれ。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビュー。2013年「検事の本懐」で第15回大藪春彦賞、2016年に「孤狼の血」で第69回日本推理作家協会賞受賞。著書に「慈雨」「盤上の向日葵」など多数。

第一話 倫理的にあり得ない(29)敵から息子を守るようなしぐさ

公開日: 更新日:
イラスト・大野博美

 貴山が言う。

「僕はお父さんの知り合いだ。お父さんと会うのは久しぶりだから、ちょっと話し込んでしまった。待たせてごめんね」

 馬鹿野郎。

 涼子は、心で貴山を怒鳴りつけた。安生と知り合いだと言ってしまっては、引くに引けないではないか。いったい、なにを考えている… 

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