「母が三人寄れば、かしましい」中島要著
「母が三人寄れば、かしましい」中島要著
お佐奈は2年前、猪牙舟(ちょきぶね)の船頭・周平に請われ嫁になった。ある日、養母のお力が長屋を訪ねてきて、死んだと聞かされてきたお佐奈の生みの親・お早知が実は生きており、先日、娘に会いたいと、お力の前に現れたという。以前からお早知が生きていることに気づいていたお佐奈だが、今さら会いたいとは思わない。
後日、現れたお早知は、お力から聞いていた話とは異なる言い訳を述べ始め、混乱するお佐奈だが、何とか追い返す。数日後、周平の生みの親にして、今は船宿の女将の義母・お克がお早知を伴い、訪ねてくる。お早知はお克に泣きつき船宿で働くことになったという。
生みの母と育ての母、亭主の母の3人の母の間で翻弄される、お佐奈を主人公にした時代家族小説。
(PHP研究所 968円)