「誰に似たのか」中島要著

公開日: 更新日:

「誰に似たのか」中島要著

 深川今川町の貧乏長屋、平助店(へいすけだな)に、日本橋通油町の筆墨問屋、白井屋の主人、太一郎がかごに乗ってやってきた。

 この長屋に住むお秀は太一郎の妹だが、親の反対を押し切って売れない浮世絵師と一緒になったのだ。太一郎は、長年連れ添った亭主を亡くしたばかりの母が、永代橋の近くで屋台のそば屋をやっている年下の男に貢いでいるので、止めてほしいと、お秀に言う。母に聞いてみると、孫のお美代に誘われてそばを食べに行ったら、そば屋の杉次郎が、男ができた女房に逃げられたと聞いて同情したらしい。自分も女癖の悪い夫で苦労したからだ。

 ところが杉次郎は、母に過分なこころづけや土産をもらうのがしんどいと言う。(「第一話」)

 江戸の商家の家族が繰り広げる騒動を描く痛快な時代小説6編。

(朝日新聞出版 1760円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ソフトバンクに激震!メジャー再挑戦狙うFA有原航平を「巨人が獲得に乗り出す」の怪情報

  2. 2

    山崎まさよし、新しい学校のリーダーズ…“公演ドタキャン”が続く背景に「世間の目」の変化

  3. 3

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  4. 4

    草間リチャード敬太“全裸騒動”にくすぶる「ハメられた」説…「狙った位置から撮影」「通報が早い」と疑問視する意見広がる

  5. 5

    維新の「議員定数1割削減」に潜む欺瞞…連立入りの絶対条件は“焼け太り”狙った露骨な党利党略

  1. 6

    山崎まさよし公演ドタキャンで猛批判 それでもまだ“沢田研二の域”には達していない

  2. 7

    ドジャース大谷翔平が直面する米国人の「差別的敵愾心」…米野球専門誌はMVPに選ばず

  3. 8

    「これが寝るってことだ」と感激…女優の岡崎友紀さん変形性股関節症との苦闘

  4. 9

    クマが各地で大暴れ、旅ロケ番組がてんてこ舞い…「ポツンと一軒家」も現場はピリピリ

  5. 10

    公然わいせつ容疑で逮捕→釈放も“連帯責任”…Aぇ! group草間リチャード敬太の芸能界復帰はイバラの道