「フィルス」アーヴィン・ウェルシュ(原作・製作総指揮)

公開日: 更新日:

 妻に逃げられ、うらぶれた中年男が、まずは腐った社会、組織から這い上がろうとあがく。90年代、渋谷のミニシアターでロングランを記録した「トレインスポッティング」と同じ小説家アーヴィン・ウェルシュ(55)が原作を書き、製作総指揮も担当した話題の新作「フィルス」である。

――舞台はスコットランドなのに、日本の今の閉塞感、世相を反映しているようにも見えます。

「どこか普遍的なところがあるのかも知れませんね。この作品は私が作家になる前、エディンバラの市役所で働いていた時の体験がベースになっているんです。ちょうど閉鎖的なヒエラルキー(階層構造)が崩れ、組織改革が行われる過程で居場所をなくし、アル中や精神を病む中高年を何人も見てきました。行政であれ会社であれ、組織が家族のように面倒を見てくれた時代ではもはやないんですね。そんなこぼれ落ちそうになる中年男を描きたかった。役所と同じくらい閉鎖的で、よりドラマチックになると思い、警察に置き換えてみたんです」

――アルコールにコカイン中毒で、同僚の妻にも手を出すブルース刑事(ジェームズ・マカヴォイ)は、麻薬中毒の若者マークが主人公の「トレスポ」の中年版なのですか?

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    【原田真二と秋元康】が10歳上の沢田研二に提供した『ノンポリシー』のこと

  3. 3

    カーリング女子フォルティウスのミラノ五輪表彰台は23歳リザーブ小林未奈の「夜活」次第

  4. 4

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  5. 5

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  1. 6

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  2. 7

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 8

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  4. 9

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

  5. 10

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった