山崎豊子の遺稿「完結」「映像化」 カギ握る“右腕”秘書とは?
作家の山崎豊子さん(享年88)がこの世を去って2カ月――。偲ぶ会が27日、東京会館で営まれた。献花には一般のファンら110人のほか、200人の関係者が参列した。
ゆかりのある編集者や作家、俳優らが集まった偲ぶ会会場。献杯する様子が散見され、映画「沈まぬ太陽」に主演した渡辺謙(54)が会場の片隅で、「KADOKAWA」の角川歴彦会長の話に神妙な面持ちで耳を傾ける姿も。そんな中、ある人物の前に長蛇の列が……。
名刺片手に出版関係者が10人、20人と列を作っていた相手は50年以上、山崎氏の秘書を務めた野上孝子さん。山崎さんの「懐刀」とも「右腕」とも呼ばれる人物だ。
■第2部まで取材は終了
発売中の「文芸春秋」に寄せられた野上さんの独占手記。
「山崎豊子先生の素顔」と題し12ページにわたるその内容は、間近で接したからこそ知り得る創作秘話やプライベートが鮮明かつ叙情たっぷりにつづられている。
その一部を紹介すると、62年当時、国文科の学生だった野上さんは大学の就職課の掲示板にある「秘書募集」の貼り紙を見て、山崎氏の自宅まで面接を受けに行ったという。作家志望でもなければ、山崎作品も一度も読んだことがなかったそうだが、以来、執筆に追われる作家に代わって取材したり、同行したり。これまでスポットライトを浴びることはなかったが、この優秀な“右腕”なくして、重厚な山崎作品の数々は存在し得なかったといっても、決して言い過ぎではない。