著者のコラム一覧
大竹聡ライター

1963年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業後、出版社、広告代理店、編集プロダクションなどを経てフリーに。2002年には仲間と共にミニコミ誌「酒とつまみ」を創刊した。主な著書に「酒呑まれ」「ずぶ六の四季」「レモンサワー」「五〇年酒場へ行こう」「最高の日本酒」「多摩川飲み下り」「酒場とコロナ」など。酒、酒場にまつわるエッセイ、レポート、小説などを執筆。月刊誌「あまから手帖」にて関西のバーについてのエッセイ「クロージング・タイム」を、マネーポストWEBにて「大竹聡の昼酒御免!」を連載中。

(10)東京・銀座のハイボール

公開日: 更新日:

 手間のかかった原稿をようやく書き切った。どっと疲れが出ていたが、こんなときこそ、飲みたくなるものだ。

 早くから銀座へ出て、次の仕事の打ち合わせをするのに選んだ店は、2丁目、並木通りのビルに入っているバーである。店名は「たか坂」という。オーナーバーテンダーの高坂壮一さんは、銀座三笠会館の地下にあった「バー5517」で、名バーテンダー稲田春夫氏を師と仰いだ。今は50代のベテランだが、私が初めて会ったときはまだ20代だった。かく言う私も30代だった。長い付き合いだ。彼の前で飲むときは、とても落ち着く。

 明るいうちからの酒は、うまい。2杯、3杯と飲むうちに、酒はさらにうまくなる。これでは夜までもたないと思いつつ、3杯が4杯になり、いくらなんでもウォーミングアップで5杯は多いと戒めて店を出た。

 連れがふたりいて、何か食おうという話になった。並木通りの向かいに「三州屋」がある。細い路地の突き当りの店だ。小腹が減っているから、ここでアジフライとマグロ刺しでも腹に入れよう。そう思って扉を開けたが、3人は席がとれなかった。

 さて、どうする。蕎麦屋、おでん屋、思いつくところに電話をしてみるが、師走の午後7時。どこもいっぱいである。

「ロックフィッシュでサンドウィッチ食べましょうよ」

 同行の1人が言った。大変な人気店だから、行ってみたところで満席だろうと思ったが、行ってみたら、スタンディングのカウンターではなく、テーブルに空きがあった。

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