俳優・平田満が語る「老齢の境地だからこその役がやりたい」
早大在学中に劇作家・つかこうへいにその才能を見いだされ、「人前でお芝居するようになって40年」。舞台や映画、そしてドラマで“一役入魂”の演技が光る俳優の平田満(61)。中年男の悲哀を醸し出す役者として、なくてはならない存在だ。
■役作りは特にしません
子供の頃から俳優になりたいと思っていたわけでもなく、上京した時も俳優の仕事に興味があったわけでもない。脚本と演出の違いも分からなかった。ココだけの話、その区別はいまだによく分からないんですが……。
役作りは特にしません。僕に声をかけてくださったってことは、監督さんの頭の中には“平田満がやるんだったらこうなるだろう”というイメージが半分以上、固まっていると思うから。今の僕には冴えない退職したオジさんの役だとか、ちょっと訳アリ難アリの男の役が多いのですが、それも個性であり、持って生まれたもの。生きてきた軌跡によって、いかんともし難いものってあるでしょう。普段から中年男の悲哀がにじみ出ている、不器用でもこういうふうにしか生きられない。自分にはそんなベクトルが、かすかす向いている。演じる資格があると信じています。