必見作多数 故・加藤武さんは「映画俳優」としても一流だった

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 俳優の加藤武さんが亡くなった。86歳だった。次の芝居の準備をしていたというから、まさに現役のまま旅立ったことになる。

 不思議なのは、演劇人としての追悼文は見かけたが、映画俳優としての記述が意外なほど少なかったことだ。代表作がすぐに浮かばなかったからかもしれないが、金田一シリーズの「よーし、わかった」という名セリフや、黒沢明監督、今村昌平監督作品などでの名脇役としても知られている。

 そんな中で強烈な役柄といえば、「仁義なき戦い」シリーズの「代理戦争」(73年)の加藤。

 金子信雄演じる山守親分にいびられ、不格好に泣き出すシーンなど、その情けない感じが天下一品。こわもての加藤がとてもしょぼい感じを出したので、逆に印象的だった。

 加賀まりこと共演した「月曜日のユカ」(64年)も忘れがたい。キュートな加賀を、銀髪のダンディーな中年男の魅力で引き付ける。加賀は渋い加藤にのめり込み、加賀の恋人役の中尾彬が嫉妬してしまう。

「月曜日のユカ」の時の加藤はなんと35歳。50代にしか見えないその風貌と貫禄は、今の若手ではとても演じようがない見事なものだった。

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