必見作多数 故・加藤武さんは「映画俳優」としても一流だった

公開日: 更新日:

 俳優の加藤武さんが亡くなった。86歳だった。次の芝居の準備をしていたというから、まさに現役のまま旅立ったことになる。

 不思議なのは、演劇人としての追悼文は見かけたが、映画俳優としての記述が意外なほど少なかったことだ。代表作がすぐに浮かばなかったからかもしれないが、金田一シリーズの「よーし、わかった」という名セリフや、黒沢明監督、今村昌平監督作品などでの名脇役としても知られている。

 そんな中で強烈な役柄といえば、「仁義なき戦い」シリーズの「代理戦争」(73年)の加藤。

 金子信雄演じる山守親分にいびられ、不格好に泣き出すシーンなど、その情けない感じが天下一品。こわもての加藤がとてもしょぼい感じを出したので、逆に印象的だった。

 加賀まりこと共演した「月曜日のユカ」(64年)も忘れがたい。キュートな加賀を、銀髪のダンディーな中年男の魅力で引き付ける。加賀は渋い加藤にのめり込み、加賀の恋人役の中尾彬が嫉妬してしまう。

「月曜日のユカ」の時の加藤はなんと35歳。50代にしか見えないその風貌と貫禄は、今の若手ではとても演じようがない見事なものだった。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    遠山景織子の結婚で思い出される“息子の父”山本淳一の存在 アイドルに未練タラタラも、哀しすぎる現在地

  2. 2

    桜井ユキ「しあわせは食べて寝て待て」《麦巻さん》《鈴さん》に次ぐ愛されキャラは44歳朝ドラ女優の《青葉さん》

  3. 3

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  4. 4

    元横綱白鵬「相撲協会退職報道」で露呈したスカスカの人望…現状は《同じ一門からもかばう声なし》

  5. 5

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  1. 6

    西内まりや→引退、永野芽郁→映画公開…「ニコラ」出身女優2人についた“不条理な格差”

  2. 7

    永野芽郁“二股不倫”疑惑でCM動画削除が加速…聞こえてきたスポンサー関係者の冷静すぎる「本音」

  3. 8

    佐々木朗希が患う「インピンジメント症候群」とは? 専門家は手術の可能性にまで言及

  4. 9

    綾瀬はるかは棚ぼた? 永野芽郁“失脚”でCM美女たちのポスト女王争奪戦が勃発

  5. 10

    江藤拓“年貢大臣”の永田町の評判はパワハラ気質の「困った人」…農水官僚に「このバカヤロー」と八つ当たり