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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。最新著「王者の挑戦『少年ジャンプ+』の10年戦記」(集英社)、伝説のテレビ演出家・菅原正豊氏が初めて明かした番組制作の裏側と哲学をまとめた著者構成の「『深夜』の美学」(大和書房)が、それぞれ絶賛発売中!

演じなくてもヒーロー 藤岡弘、が貫く生涯未完成のロマン

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「国民の常識です! これを知らない日本人は日本人とは認めません」(カズレーザーテレビ朝日「張り紙パイレーツ!」3月20日放送)

 メイプル超合金のカズレーザーは「藤岡弘、」の芸名に「、」が付いている意味を問われ、「自分は未完成で先があるという思いを込めた」と即答した。「よく知ってるねえ」と柔和に笑う藤岡にカズレーザーが返した言葉を今週は取り上げたい。

 藤岡弘、(72)といえば、「仮面ライダー」の本郷猛を演じたこともまた、「国民の常識」だろう。だが、ヒーローものをやりたいと思っていたわけではなかった。愛媛県の田舎で育った藤岡にとって、一番の刺激だったのは映画。いつしか、その中に入りたいと思うようになり上京。松竹映画でデビューしたが、来る仕事は自分がやりたい役とは違っていた。

 彼が望んでいたのは、アクションだった。そこで選んだのが「仮面ライダー」だったのだ。当時は、スーツアクターなどいない。アクションシーンも自分自身で演じる。望むところだった。

 だが、仮面をつけているため視野が狭くなり、遠近感がなくなる。その状態のままスタントさながらのアクションをするのだ。結果、第10話を撮影中、バイクで転倒し大ケガを負った。これもまた「国民の常識」だ。

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