著者のコラム一覧
クロキタダユキ

白い嵐(1996年・米国)

公開日: 更新日:

 1961年、若き訓練生らを乗せた帆船アルバトロス号がバミューダ海域で伝説の“白い嵐”に遭遇。生徒を含む6人(劇中では4人)の犠牲者を出す。実話の海難事故がベースだ。

 海洋アカデミーに初参加した17歳の少年チャックを中心に、多感な年頃の少年らが大海原で鍛えられ、友情を深める。その過程がすがすがしい映像で描かれていて、ほろ苦い青春映画になっている。「エイリアン」や「テルマ&ルイーズ」で知られるリドリー・スコット監督はCM畑出身だけに、とにかくキレイな仕上がりだ。

 それゆえ後半30分の不慮の災難で大切な仲間や船長の妻を目の前で失うシーンは、胸が締めつけられるだろう。劇場では涙した人が多かったそうだ。

 死者を出したことで少年たちが心から慕う船長は裁判にかけられる。法廷では少年の責任も厳しくチェックされるが、「10代の少年に責任を問うのはおかしい。罪はオレ一人にある」と海の男らしく潔く全責任を負う。どこぞの大学の理事長とは大違いだ。名優ジェフ・ブリッジスが、頼れる船長を渋く好演している。

 生き残った少年らはベトナム戦争に駆り出されるも、船長の教えもあって無事帰国。船長も医療関係者として戦地に赴いたという。そんなエピソードが流れるラスト、チャックの独白が。セリフは、その一節。最後まで飽きることなく見入ってしまう秀作だ。

【連載】セリフ1つ読む映画

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 2

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  3. 3

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  4. 4

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  5. 5

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    今度は横山裕が全治2カ月のケガ…元TOKIO松岡昌宏も指摘「テレビ局こそコンプラ違反の温床」という闇の深度

  3. 8

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    大谷翔平のWBC二刀流実現は絶望的か…侍J首脳陣が恐れる過保護なドジャースからの「ホットライン」