著者のコラム一覧
ラリー遠田お笑い評論家

1979年、愛知県名古屋市生まれ。東大文学部卒。テレビ番組制作会社勤務を経てフリーライターに。現在は、お笑い評論家として取材、執筆、イベント主催、メディア出演。近著に「松本人志とお笑いとテレビ」(中央公論新社)などがある。

金属バットの“ヘラヘラ感”はブレークする芸人に共通する

公開日: 更新日:

 背が高くて丸刈りの小林圭輔と、長髪で出っ歯の友保隼平はいずれも大阪の堺市出身。高校の同級生で、卒業後に意気投合してコンビを結成した。

 彼らの漫才は、まるで日常会話のようなゆったりとしたテンポで進んでいく。話し方や言葉の選び方のクセが強く、とにかく柄が悪い。「漫才師は立ち仕事だからキツい。落語家は座って大昔に誰かが作ったネタをやるだけだから楽」と主張したりするなど、ネタの中身も独特で全く先の展開が読めない。

 でも、そんな彼らの漫才には一度ハマるとやみつきになる面白さがある。休み時間に教室の片隅で、出来の悪い男子たちがとりとめもない会話をしているのを聞いているような感覚に陥る。

「スマートフォンデュ」(テレビ朝日)という深夜番組に出演した際には、友保がふざけてメーク担当者に「ギャル風にしてください」と頼んでいたため、なぜかパッチリした瞳のギャルメーク顔で漫才を披露していた。とにかく何から何までふざけているのである。

 金属バットがこれから売れるかどうかは分からない。ただ、私の知る限り、のちに売れた芸人の多くは、間違いなく若手時代に「こういうタイプ」だったとは言える。金属バットの2人には、近いうちに快音を響かせてド派手なホームランを打ち上げてほしい。

【連載】2019 新春「笑」芸人解体新書

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    さすがチンピラ政党…維新「国保逃れ」脱法スキームが大炎上! 入手した“指南書”に書かれていること

  2. 2

    国民民主党の支持率ダダ下がりが止まらない…ついに野党第4党に転落、共産党にも抜かれそうな気配

  3. 3

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  4. 4

    来秋ドラ1候補の高校BIG3は「全員直メジャー」の可能性…日本プロ野球経由は“遠回り”の認識広がる

  5. 5

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  3. 8

    脆弱株価、利上げ報道で急落…これが高市経済無策への市場の反応だ

  4. 9

    「東京電力HD」はいまこそ仕掛けのタイミング 無配でも成長力が期待できる

  5. 10

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー