著者のコラム一覧
太刀川正樹ジャーナリスト

1946年、東京生まれ。国際ジャーナリスト。早稲田大学教育学部英文科在学中、韓国国立ソウル大学語学研究所へ留学、韓国語を学ぶ。講談社の日本語版「ペントハウス」ニューヨーク特派員などを経験。著書・訳書に「政権交代」「平壌十五号官邸の抜け穴」「オリンピック30年」など。

保守的で閉鎖的な韓国社会と芸能界に絶望していたところ…

公開日: 更新日:

 しかし当時の韓国社会では芸能人の地位は低かった。韓国語で「タンタラ」という言葉があるように、芸能人は下等の職業だという考え方が韓国社会に蔓延していた。しかも稼ぎ頭に結婚してもらって困るのは芸能事務所だ。

「私の結婚に芸能事務所が反対して、マスコミ相手に、“相手男性の母がいかがわしい飲み屋を営んでいる”とか“片親の歌手とは結婚させないと相手の母親が反対している”とかデタラメな情報を流しているのを聞いて傷つきました。相手男性のお父さまは軍人で、光州事件(80年5月)直後の全斗煥将軍グループによって連行されて、ひどい拷問を受けて下半身が麻痺したと聞きました。私の母と相手のお母さまとは非常に仲が良かった。同じ頃、芸能事務所が私の出演ギャラの値上げ要求を巡って放送局や劇場主と対立したために2カ月間、MBCに出演できなかったこともありました。

 結局、マスコミと芸能事務所同士の誹謗中傷合戦に耐えられなくなり、その方との結婚を諦めざるを得ませんでした。保守的で閉鎖的な韓国社会と芸能界に絶望している時、ちょうど神奈川県に住む在日事業家から、“日本に来なさい。おまえのハスキーボイスと歌唱力なら必ず成功する”と言われて、作曲家の浜圭介さんを紹介していただいたのが、日本へ行く決心をするキッカケになりました」

(つづく)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    侍ジャパンに日韓戦への出場辞退相次ぐワケ…「今後さらに増える」の見立てまで

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    “新コメ大臣”鈴木憲和農相が早くも大炎上! 37万トン減産決定で生産者と消費者の分断加速

  4. 4

    侍J井端監督が仕掛ける巨人・岡本和真への「恩の取り立て」…メジャー組でも“代表選出”の深謀遠慮

  5. 5

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  1. 6

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    矢地祐介との破局報道から1年超…川口春奈「お誘いもない」プライベートに「庶民と変わらない」と共感殺到

  4. 9

    渡邊渚“逆ギレ”から見え隠れするフジ退社1年後の正念場…現状では「一発屋」と同じ末路も

  5. 10

    巨人FA捕手・甲斐拓也の“存在価値”はますます減少…同僚岸田が侍J選出でジリ貧状態