“3人の美少年”莟玉・染五郎・隼人 次世代スターは飛躍の秋

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 昨年の「NARUTO」で主役をつとめた中村隼人が、10、11月は新橋演舞場でスーパー歌舞伎「オグリ」で、市川猿之助とダブルキャストで主役を交互出演している。猿之助主演の日と両方見たが、若く凜々しい正義のヒーローは、隼人のほうが適役だ。だからこそ、猿之助もダブルキャストに抜擢したのだろう。

 猿之助は「オグリ」で演出も担っている。もともとプロデューサー志向も強く、「ワンピース」では尾上右近を抜擢してスターにしたが、隼人も猿之助によって、次代のスターとして浮上してきた。猿之助はまだ若いが、名伯楽である。次は誰を見いだすのか。

 御曹司の中の御曹司である市川染五郎は、父・松本幸四郎と歌舞伎座で「連獅子」を共演。どちらが親か分からないほど、立派だ。姿勢がいいし、動きの切れもいい。染五郎は美少年だがひ弱ではない。たくましい獅子を感じさせるのだ。「勧進帳」の弁慶に憧れているようなので、早めに、20歳前後にやったほうがいい。

 というわけで、今月は3人の美少年が、歌舞伎座と新橋演舞場で奮闘している。元美少年たちはというと、市川海老蔵は、シアターコクーンを借りての自主公演で「実盛物語」を自らの新演出で出す。尾上菊之助は木村拓哉主演のドラマで敵役を演じているが、12月は新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」の主演が控えている。

(作家・中川右介)

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