「コレクターズパレード」落合加依子、佐藤友理編

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「コレクターズパレード」落合加依子、佐藤友理編

 人間には、その強弱はともかく、収集欲という「本能」が「インストール」されているようだ。

 本書は、「何か」を集めることに夢中な市井の人々に、そのコレクションと自身が暮らす部屋を自らの文章で紹介してもらうフォトエッセー。

 山梨県の主婦・まなみさんは、骨董市がきっかけだった。積まれるようにして売られていた古い着物の鮮やかさに目を引かれ、手にした。その瞬間、洋服では考えられないような色や柄に心を奪われ、どうしても欲しくなって購入。そこから着付け教室に通い、着るために必要な帯や和装小物をそろえていったという。今では押し入れの中は買い集めたそれらでいっぱいだ。

 スペイン在住のきえさんが集めるのは、夫の「頼むから捨ててくれ」という視線を無視して、洗剤で磨き、消毒して、いつか訪れる出番を待つジャムや蜂蜜などの空き瓶だ。

 仕事に不可欠なので収集自体は目的ではないと言いながら、なぜか年間30本ほど増え続けるピンセットが今は400本もあるという昆虫の研究者・聖大さん、一台一台迎え入れるたびにクレヨンで「塗装」したミニカー98台を愛蔵する2歳の守君、レコード屋やリサイクルショップの100円均一の棚やワゴンで投げ売りされている100円CDで部屋が埋め尽くされるデラさんなど。

 収録された100人それぞれのコレクション愛に共感したり、驚いたり。

 中には、毎朝まずノートと鉛筆を持って鏡の前に立ち記録してきた自分の寝癖をコレクションするさくらさんや、見ればその日の天気から自分の気持ちまで思い出すことができるからと、レシートをすべて残している舞さんなどのつわものもいる。

 もしかしたらコレクションとは、その人自身も気づかない心の内奥の表れなのかもしれない。 (小鳥書房 2200円)

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