初老男の苦悩を描く「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」

公開日: 更新日:

 われらサラリーマンも「今の生き方でいいのか」と自分史を疑うことがある。リーガンはわれわれの代表であり、目の前に立ちふさがる内なるバードマンと戦っている。だから妄想にかられて暴れる。

 ラストはバードマンと決別するリーガンの姿。人間の幸福は心の持ちようで決まる。高杉晋作は「おもしろきこともなき世をおもしろく」と詠み、野村望東尼(もとに)の結句「すみなすものは心なりけり」に「面白いのお」と呟いて命を閉じた。

 自信を回復して窓枠を越えた父と、父を探して空を見上げる娘。彼女のブルーの瞳に何が映ったのかは分からない。ただ、「あはは」という無邪気な笑い声が大団円の余韻を残すのだ。

(森田健司/日刊ゲンダイ

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  3. 3

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  4. 4

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  5. 5

    坂口健太郎に永野芽郁との「過去の交際」発覚…“好感度俳優”イメージダウン避けられず

  1. 6

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  2. 7

    板野友美からますます遠ざかる“野球選手の良妻”イメージ…豪華自宅とセレブ妻ぶり猛烈アピール

  3. 8

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景