C・イーストウッド監督 最新作で描く“今ここにある危機”
クリント・イーストウッド(89)の監督40作目となる新作「リチャード・ジュエル」が、いまの日本には実にタイムリーだと話題である。
舞台は1996年のアトランタ五輪。実際にあった爆弾事件で、爆弾を発見し多くの人命を救った英雄でありながら、容疑者と報じられ、追い詰められていく警備員リチャード・ジュエルを描いた。地元地方紙の女性記者がFBIが調べているとのネタをつかみ、一般論として第一発見者が犯人である可能性があると報じた飛ばし記事によって、全国民が敵になり、人生をメチャクチャにされてしまうのだ。
イーストウッドは「プロダクション・ノート」でこんなコメントをしている。
「私がこの主人公に興味を持ったのは、彼がどこにでもいる、ごく普通の良い人間だからだ。警官になりたいと願い、人々がよりよい生活を送れるよう献身的に働いて、英雄的な行動をとったことで、こともあろうに、とんでもない被害に遭う。世の中に見捨てられ、全国民が敵になってしまうんだ。そこから逃れる力は何もなかった。24年前の事件だけど、今の時代にも十分起こりうる、伝える必要があると思ったんだ」