相棒の仙之助はセブ島にも毬を持って行く芸熱心な男でした
太神楽師にとって、共に曲芸を演じる相棒はかけがえのない存在である。仙三郎は相棒の仙之助を2001年に亡くしている。仙之助はどんな人柄だったのだろうか。
「あたしよりずっと繊細で、ひとつのことを一生懸命にやって極めるという芸熱心な男でした。毎年2月下席(20~28日)だけは寄席を休んで、2人の知り合いが在住してるセブ島へ遊びに行ってたんです。あたしはゴルフ道具だけ持って行くのに、仙之助は曲芸の毬を持ってって、ホテルの部屋で稽古してるんですから」
2人で行った海外公演の思い出もある。
「アメリカはシアトルで公演しました。通訳に解説してもらいながら演じました。ヨーロッパはイタリアのフィレンツェです。現地で和食レストランをやってる社長から、店の何周年かのイベントに呼ばれました。滞在中は店の日本食ばかり食べてて、教会に頼まれてやった時だけ、そこの神父さんがスパゲティを作ってくれました。2人でおいしくいただいたのがいい思い出です」
若い頃は太神楽師らしからぬ仕事もしたとか。