「太神楽は外国人にも受ける伝統芸能。未来は明るい」
太神楽はもともと神事芸能だったのが、寄席ができてから、曲芸だけ高座で演じられるようになり、色物として定着した。
「寄席は落語や漫才など聴いて楽しむ芸が多いので、太神楽のような見て楽しむ芸が珍重されるわけです。ただ、色物は客に受ければいいというもんじゃなくて、後に出る落語家さんにいい雰囲気で渡してあげる。役目はこれに尽きると思います。野球で言えば、中継ぎ投手ですね」
確かに、色物は短い時間でつなぐワンポイントリリーフもあれば、長い時間やらざるを得ないロングリリーフもある。
「時間が押していて、前座さんから『短めにやって下さい』と言われるのはしょっちゅう。そういう場合はたとえ5分で下りても客には10分やったように思わせなくちゃいけない。反対に、トリの前のヒザ代わりで、トリの落語家の楽屋入りが遅れてて、それまでつながなくてはいけないこともあります。そこでは、やむを得ず延ばしてることを客に悟らせない。小仙親方はトリが遅れた際、1時間やってたのを見てます。
仙之助・仙三郎では、50分つないだのが最長記録。それだけやると、曲芸だけでは客も飽きてしまう。そこで茶番が役に立つんです」