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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。最新著「王者の挑戦『少年ジャンプ+』の10年戦記」(集英社)、伝説のテレビ演出家・菅原正豊氏が初めて明かした番組制作の裏側と哲学をまとめた著者構成の「『深夜』の美学」(大和書房)が、それぞれ絶賛発売中!

ヒロシは最悪を何度も経験したから“逃げ続ける覚悟”がある

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 ホストならば稼げるかと思ったのが地獄の始まりだった。引っ込み思案の性格ゆえ、ホストで稼げるはずもなく、かといって簡単に辞められるわけでもない。部屋も借りられなくなり、当時はホストのイメージは悪かったため、芸人仲間から距離を置かれてしまった。

 そうして地元・熊本に逃げ帰った。そのときにできたのが「ヒロシです……」のネタだった。早くそれを試したくてウズウズしていたヒロシは、働いていたホストクラブが閉店したと聞いて、すぐに再び上京。ライブに出ているうちに、テレビに出られるようになった。

 だが、テレビの世界はヒロシにとって苦痛でしかなかった。「もう毎日死にたかったです。あるとき、突発的に18階から飛び降りそうに」(リクルート「SUUMOタウン」19年6月6日)もなった。「飽きられて」テレビに出られなくなったと思われがちだが、ヒロシは自ら「逃げる」ようにテレビ出演をセーブしたのだ。

「飛び降りても死なない」という理由で、神奈川の一軒家に引っ越し、その頃は仕事もせずに釣りばかりしていたという。冒頭の番組でも「最悪の状況を考えて行動すれば、その覚悟はできてるんで。最悪こうなるってことに耐えられるんなら逃げればいい」と語ったヒロシ。さまざまな局面で「最悪の状況」を経験してきたからこそ、ヒロシは今も逃げ続ける。

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