「こんな屈辱、人生で初めて」33歳モテ男が味わった“敗北”…火遊びが招いた令和の逆転劇
                        【不倫ドキュメント・ファイル~なぜ禁断の恋をするのか?】
 世の中、不倫の話題で持ちきりだ。2024年に実施された調査によると、既婚男性の約2人に1人、既婚女性の約3人に1人が婚外恋愛経験者だという。SNSやマッチングアプリが普及し、不倫のハードルは下がる一方。しかし、その裏にある人間の欲望と自己演出には注意が必要だ。
 ワイドショーの定番、それは芸能人の不倫騒動。謝罪会見に活動休止──愛に溺れた代償はあまりにも重い。
 世間が「不倫=絶対悪」と決めつけるなかで、それでも、人はなぜその扉を開けてしまうのか。禁じられた恋に身を投じる不倫の背景をCA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持ち、数々の人間模様を見てきた筆者が読み解いていきたい。
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33歳モテ男。まさかの一夜限りの恋に
                         元来、「一夜だけの火遊び」とは、男が女に仕掛けるものだった。だが、令和の恋の主導権は、どうやら女のほうにもあるらしい。
「まさか、自分が“捨てられる側”になるなんて……」
 恭一さん(33歳・スポーツメーカー勤務/妻子あり)は、肩を落としてそう語った。学生時代はサッカー部のエース。長身・細マッチョ・クール系――誰が見てもモテるタイプだ。
 だが、彼を待っていたのは、まさかの一夜で終わる恋。モテ男が陥った「一夜の敗北」――その顛末を追う。                    
マッチングアプリに登録
                        「妻とは学生時代からの付き合いで、交際期間が長かったんです。そのせいか、息子が生まれてからは完全にレス。家事も育児も協力してきましたが、もう『女』として見られなくなってしまって」
 罪悪感を抱きつつも、恭一さんは「既婚者専用のマッチングアプリ」に登録した。
「お互い守るものがあるから、あとくされのない割り切った関係ができると思ったんです」
 プロフィールにはこう書いた。
〈都内在住のKです。身長177センチ、クール系。学生時代はサッカー部のエースとして活躍しました。お互いの家庭を大事にしつつ、素敵な女性と出会えたら嬉しいです。まずはランチやカフェでお会いできれば!〉
 ボカシ入りの顔写真をアップすると、すぐに女性たちから「いいね」が殺到した。
 プロフィールに顔写真を載せている女性は少なく、パンケーキや花、後ろ髪だけの画像ばかり。そんな中、目を引いたのが30歳の専業主婦と35歳の看護師・貴和子さんだった。
「どちらもボカした顔写真で本気度を感じました。先に専業主婦の方と写真を交換したんですが…残念ながらタイプではなかった。正直に『僕のイメージとは違ったので』とお断りしたら、即ブロックされました(笑)」                    
35歳・看護師とドラマのような出会い
                         次に写真を公開したのが、看護師の貴和子さんだ。
「あまりにも可愛いのでびっくりしたんです。セミロングの艶やかな髪、色白の肌、大きな瞳が印象的で、愛らしい小動物みたいな女性」
 メッセージを交わすうちに距離は一気に縮まり、初デートの約束をした。
 顔合わせは神楽坂。お堀沿いのイタリアンでランチをし、石畳を歩いて毘沙門天へ。夕暮れの街灯がともり始めるころまで散策し、まるでドラマのようだったという。
「貴和子さんは写真よりずっとキュートでした。ナチュラルメイクで肌も髪もツヤツヤ。可愛いのに年上の余裕というか、清純な色香があって…言葉は悪いけれど、ビギナーズラック!という感じ。
 彼女も「実物のほうが、断然イケメン。恭一さん、素敵ね」と褒めてくれて…(笑)隣を歩く彼女の手が僕の手に触れたとき『繋いでいいのかな』と迷っていたら、彼女のほうからそっと握ってくれた。あの瞬間、完全に心を奪われました」                    
どんどん親密な仲に
                         その夜から、ふたりはLINEで毎日のように連絡を取り合うようになる。朝の挨拶、仕事帰りのひとこと、寝る前のスタンプ――小さなやりとりの積み重ねが、恋心を育てていった。
 貴和子さんは「早く会いたいな」「恭一さんが今夜の夢に出てきますように」などと積極的に愛の言葉を綴り、恭一さんの心をとろけさせたという。
 3週間後。
「次はもっと恭一さんを知りたい」と連絡が入り、2度目のデートでラブホテルに行くことに。
「まさか2回目でホテルとは思わず、内心かなり焦りました。デート前夜、貴和子さんからは『明日のことを考えると、ドキドキして眠れない』とのLINEがあって、僕も緊張して眠れませんでした」                    
幸せの絶頂からどん底へ
                         だが、その甘い夢はあっけなく崩れる。
「ホテルで関係を持って、幸せの絶頂だったんです。彼女も満足そうだったので『これからもパートナーとして付き合ってください』と伝えたんです。当然、『イエス』が返ってくると思っていたのですが…」
 ところが、彼女の口から出たのは予想外の言葉だった。
「ごめんなさい。恭一さんとは友達でいたいの。ご飯やお茶ならいいけど、ホテルはもうイヤ」
 一瞬、何を言われたのかわからなかった。
「頭が真っ白になって、声も出ませんでした。彼女は『そろそろ時間だから、帰りは別々に出ましょう』と先に部屋を出て行って…。
 一人残されて、涙がにじんできました。どうやって電車に乗って帰ったか覚えていません」                    
「妻を裏切った罰」コメント欄が炎上寸前
                         帰宅すると、妻と息子が「パパー!」と駆け寄ってきた。
「笑顔で『ただいま』と言って、風呂場に直行。頭からシャワーを浴びながら男泣きしました。こんな屈辱、人生で初めてでした」
 自分でもフラれた理由がわからず、恭一さんはアプリ内の掲示板に匿名でショックな出来事を書きこんだ。「貴和子さんが読むかもしれない」という心配など、かまう余裕もなかった。
 すると、すぐにコメントが殺到。
――顔は好みでも相性が悪かったんでしょ
――友達でいいじゃん。メシ友にしなよ
――一度はいいと思ったけど、「やっぱ無理」って、女ならよくある。
――子供小さいのに何やってんの、奥さんを裏切った天罰だよ
――ホテルまで行って断られるのはキツいっすね
――もしかして口臭か体臭? 奥さんのとこ戻りなよ
――答えは簡単。テク不足!
 コメント欄は炎上寸前だったという。
「正直、読んでいて泣き笑いでした。でも『妻を裏切った罰』という言葉が一番刺さりました」                    
「もうマチアプは懲りた」
                         あれから半月。恭一さんは「もうマチアプは懲りた」と苦笑する。
「貴和子さんを責める気はありません。きっと『合わなかった』だけ。でも、学生時代から『女に追われる側』だったのに、まさか『1回で捨てられる側』になるとは…」
 男のプライドをズタズタにした、たった一度の逢瀬。
「今は家族の笑顔を見ているだけでホッとします。妻の作る夕飯が、妙にありがたく感じるようになりました。人生って、ほんと女の手のひらの上ですね」
――『ヤリ捨てられた男』の涙が、静かに平凡な幸せを教えてくれる。
(蒼井凜花/作家・コラムニスト)                    

 
                            
 
                                         
                                         
                                         
                                         
                                         
                                         
                                         
                                        
















 
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
         
         
         
         
         
         
         
         
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                