著者のコラム一覧
大竹聡ライター

1963年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業後、出版社、広告代理店、編集プロダクションなどを経てフリーに。2002年には仲間と共にミニコミ誌「酒とつまみ」を創刊した。主な著書に「酒呑まれ」「ずぶ六の四季」「レモンサワー」「五〇年酒場へ行こう」「最高の日本酒」「多摩川飲み下り」「酒場とコロナ」など。酒、酒場にまつわるエッセイ、レポート、小説などを執筆。月刊誌「あまから手帖」にて関西のバーについてのエッセイ「クロージング・タイム」を、マネーポストWEBにて「大竹聡の昼酒御免!」を連載中。

(3)樽酒を飲みに行く

公開日: 更新日:

 私は、東京の多摩地域の生まれで、今も住んでいる。新宿から私鉄の急行で30分かかり、駅からぶらぶら歩いて10分というあたりに家がある。浅草や北千住などで飲んだ帰りは、飲み屋のドアから家のドアまで1時間半で着かないことがある。

 還暦過ぎて、酒の入った深夜の1時間半は疲れる。かといってタクシーを気ままに使える身分ではない。そのせいもあって、昨今、多摩で飲むことが増えている。つまり、東京(23区内)へは行かないのである。私もレッキとした東京都民だが、今夜は東京へ行かずにこっちで飲むか……と考えることが増えている。

 中央線沿線なら吉祥寺、三鷹、小金井、国分寺、国立、立川、京王線沿線だと、調布、府中あたりで、時には日野や八王子の蕎麦屋で一杯なんていうのも好きだ。

 立川には朝から飲める名店もあり、競輪場の最寄り駅だから、少しだけ馴染みがある。しかし、南口界隈には疎くて、「富士」という居酒屋を知ったのは昨年のことである。つまみの豊富な店で、マグロぶつや冷奴、ニラ玉(ニラオムレツという感じの品)、アジの開きなんかで燗酒を傾けるにも似合いの店だが、実はこちら、メシのおかずになる品も充実している。豚の生姜焼きや大盛りの鶏のから揚げ、さらには、天ぷらがうまい。

 そして、鍋ができる。カウンターにも小上がりの卓にも、懐かしいゴム管のついたガスコンロがあり、ひとり鍋を喰いながら一杯というオツな楽しみ方もできる。これから寒くなれば牡蠣鍋、白子鍋、鱈ちりなどがいい。私はこちらの湯豆腐は食べたことがある。豆腐、白菜、長ネギ、エノキを土鍋で煮て、ポン酢醤油で食べる。ビールにも焼酎にも合うし、もちろん日本酒なら燗だろう。

 豆腐は軽いし、消化もいいから、私のような「飲む時には基本あまり食べない派」のひとり酒にも最適なのだ。

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