著者のコラム一覧
一雫ライオン作家

1973年、東京都出身。明治大学政治経済学部2部中退。俳優としての活動を経て、演劇ユニット「東京深夜舞台」を結成後、脚本家に。数多くの作品の脚本を担当後、2017年に「ダー・天使」で小説家デビュー。21年に刊行した「二人の嘘」が話題となりベストセラーに。著書に「スノーマン」「流氷の果て」などがある。

「後に残る言葉」は相手に誤解も傷も与える危険をはらむ

公開日: 更新日:

 まず彼に送った言葉、アドバイスとやらは「感動させたいんです!」などという、むしずの走る言葉はおやめになったらということと、「恥をかく覚悟はあるのかい?」ということだった。あと、経験も。痛いとか苛立つとか、そこらへんも必要かもと伝えてもらった。と、いよいよ青年がわたくしと、じかに連絡を取りたいと言っているとY編集者からきかされ、これでもそれなりに忙しいし、新作小説の締め切りは大いに遅れているし、それなのに麦焼酎は飲むし大好きな横浜ベイスターズの試合も見るし2人の幼子を時々笑わせたりもせねばならぬのでやはりこれ、なかなか忙しいのである。と、青年がわたしのLINEアドレスを求めているという。

 ご勘弁願う。「ピロリン」とLINEの着信音が鳴るたびに、心優しき編集者様からの「執筆はいかがでございましょうか」という愛と脅迫と怒りのこもったメッセージではと怯えるわたしは、極力LINEはやりたくない。なので「いちど会うか、もしくは電話で」と伝えてもらうと「ライオンさんもお忙しいと思いますので、メールアドレスを教えてください」と言ってきたという。

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