著者のコラム一覧
本多正識漫才作家

1958年、大阪府生まれ。漫才作家。オール阪神・巨人の漫才台本をはじめ、テレビ、ラジオ、新喜劇などの台本を執筆。また吉本NSCの名物講師で、1万人以上の芸人志望生を指導。「素顔の岡村隆史」(ヨシモトブックス)、「笑おうね生きようね いじめられ体験乗り越えて」(小学館)などの著書がある。新著「1秒で答えをつくる力──お笑い芸人が学ぶ『切り返し』のプロになる48の技術」(ダイヤモンド社)が発売中。

辻本茂雄は歩けないほどの腰痛でも90分間舞台に立ち続けた

公開日: 更新日:

 そして90分以上、ほとんど出ずっぱりの舞台の緞帳が上がります。次々に登場する役者さんに続いて、いよいよ登場。ひときわ大きい拍手と歓声に迎えられた“茂造じいさん”の足取りは軽く、小走りをする場面も躍動感にあふれ、舞台狭しと動き回ります。腰の負担を少しでも減らすために事前にカットした動きも、本番では予定どおりこなす姿を見ながら「(辻本君の)腰が最後まで持ちますように……」と祈るような気持ちで見守っていました。無事に芝居が終わり、カーテンコールで舞台挨拶、最後にサインボールを客席へ投げ込み、緞帳が下りるまで、その動きにはなんの違和感もありません。

 全てが終わると、倒れこむようにマネジャーの肩を借り、座ると痛みが増すので、立ったままで座長としてのダメ出しをしてから、長椅子に横になってしばらく動くこともできませんでした。座長として芝居を引っ張る責任感と存在感に「芸人さんて凄いな……」とあらためて感激したものです。

 吉本新喜劇は時代とともに演者がかわっても、関西人にとっては生活の一部。“おもしろくて当たり前”というものです。この重圧は脚本を書いてみて初めて実感しました。作家ですらそう思うのですから、舞台で演じる役者さん、ましてや座長の重圧は計り知れないものがあると思います。

 座長を退き、これまでの重圧からも解放された辻本君は、これからますます活躍の場を増やしていってくれることでしょう。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    横浜・村田監督が3年前のパワハラ騒動を語る「選手が『気にしないで行きましょう』と…」

  2. 2

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  3. 3

    マツコが股関節亜脱臼でレギュラー番組欠席…原因はやはりインドアでの“自堕落”な「動かない」生活か

  4. 4

    松井秀喜氏タジタジ、岡本和真も困惑…長嶋茂雄さん追悼試合のウラで巨人重鎮OBが“異例の要請”

  5. 5

    巨人・田中将大と“魔改造コーチ”の間に微妙な空気…甘言ささやく桑田二軍監督へ乗り換えていた

  1. 6

    5億円豪邸も…岡田准一は“マスオさん状態”になる可能性

  2. 7

    小泉進次郎氏8.15“朝イチ靖国参拝”は完全裏目…保守すり寄りパフォーマンスへの落胆と今後の懸念

  3. 8

    渡邊渚“初グラビア写真集”で「ひしゃげたバスト」大胆披露…評論家も思わず凝視

  4. 9

    「石破おろし」攻防いよいよ本格化…19日に自民選管初会合→総裁選前倒し検討開始も、国民不在は変わらず

  5. 10

    大の里&豊昇龍は“金星の使者”…両横綱の体たらくで出費かさみ相撲協会は戦々恐々