さまざまな生き物の生態を知る本特集
「すごい生きもの春夏秋冬」本川達雄著
地球にはさまざまな生き物がいる。古生代から進化していない生き物もいれば、生き残るためにユニークな能力を持っている生き物もいる。それはわれわれが厳しい社会を生き抜くためのヒントになるかもしれない。
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「すごい生きもの春夏秋冬」本川達雄著
ラクダは炎天下の砂漠を100キロ以上歩くことができる。水がなければヒトは1日しかもたないが、ラクダは1週間はもつといわれる。ラクダの背中の瘤は脂肪の塊で、食料の貯蔵庫になっているだけでなく、太陽熱を遮断する働きもある。分厚い毛皮は暑さだけでなく、氷点下の寒さも防いでくれる。
さらに、ラクダは恒温動物であり、昼間は体温が38度、夜は36度で、2度ほどの変動幅があるが、水が与えられないと午後には41度、明け方には34度と、7度もの差がある。水がないとラクダは変温動物になってしまうのだ。
だが、41度を超えそうになると、ラクダは汗をかいて体を冷やし、体温の上昇を防ぐ。
ほかに、体表が粘液でおおわれているため、イソギンチャクに刺されないクマノミなど、すごい能力を持つ生き物を紹介する。
(中央公論新社 2475円)
「シーラカンスに会いに行く」高野真吾著
「シーラカンスに会いに行く」高野真吾著
著者は静岡県の沼津港深海水族館でシーラカンスのイラストを見て、四十数年前、同じような絵を見た思い出が蘇った。幼い頃、恐竜博士になりたかった著者は、「生きた化石」と呼ばれるシーラカンスに夢中になり、シーラカンスの捕獲に行った学術調査隊について調べ始める。
日本の研究者は1938年に発見されたシーラカンスに注目し、映画監督やカメラマン、ダイバーなどで「日本シーラカンス学術調査隊」を結成。81年、シーラカンスが発見されたコモロ諸島に向かう。帰国が近づいたある日、シーラカンスが捕獲された。エメラルドグリーンの目を見開いたシーラカンスは、宇宙の天体と結びついているかのようなオーラを漂わせていた。
シーラカンスの謎に満ちた生態と、シーラカンスに取り憑かれた人びとを描くドキュメント。
(ポプラ社 2200円)
「熊 人類との『共存』の歴史」ベアント・ブルンナー著 伊達淳訳
「熊 人類との『共存』の歴史」ベアント・ブルンナー著 伊達淳訳
かつてヨーロッパでは、熊殺しが並外れた勇気の証しとみなされていた時代があった。狩猟は貴族の特権であり、特に人間にとって脅威とみられていた熊は容赦なく狩猟の対象とされた。大型犬で熊を追い立て、2メートルもある熊槍でとどめを刺した。
厳しい寒さのシベリアでは熊の皮を敷物や毛布にした。肉を食べるだけでなく、脂肪を溶かしてサラダドレッシングとして使ったりした。
その一方で、熊をペットにした者もいる。カリフォルニアでゴールドラッシュが始まったころ、マサチューセッツ州に住むジョン・アダムスは、アメリカクロクマの子を手なずけ、一枚の毛布にくるまって寝たという。グリズリーも飼ったが、ニューヨークに向かう船の中で襲われて重傷を負ったとか。
熊と闘い、熊とともに暮らした者たちの記録。
(白水社 2750円)
「多様性は美しい」稲垣栄洋著
「多様性は美しい」稲垣栄洋著
昼と夜の境目は難しい。黄昏から徐々に空の色が濃くなって、夜になっていく。世界に境目はないが、人間は境目がないと世界を理解できないので、分類することで区別しているのだ。
自然界には多くの生き物がいるが、人間はそれらの生き物を、「動いて餌をとるもの(動物)」と、それ以外の「植物」に分類した。
動物の一種、ジャイアントパンダはクマのように見えるが、以前はアライグマ科に分類されていた。ところが、遺伝子解析が進むとクマ科に分類された。「クマに見える」という感覚は正しかったのだ。
生物は自然に適応するように進化する。自然が多様性に満ちているのはそのためなのだ。
多様性があるということの意義を教えてくれるエッセー。
(さくら舎 1980円)



















