『ドライヴ・マイ・カー』凝りに凝った変態ハーモニーこそが中期、第2期だ
- 印刷
- >> バックナンバー
- 今だけ無料
アルバム『ラバー・ソウル』(1965年12月3日発売)②
1曲目(無料)から読む
■『ドライヴ・マイ・カー』
これですよ、これ。これぞ『ラバー・ソウル』ですよ。奥さん。
中期というか第2期ビートルズへの変貌を高らかに宣言するアルバム1曲目である。
まず驚くのが、そのタイトなグルーヴだ。これまでの多くの曲と変わらず、明らかに黒人音楽の影響下にあるのだが、単なる物まねではなく、自分たちの方にグイッと引き寄せて、自分色に染め上げている。まさに「ラバー」製の「ソウル」音楽になっている。
そしてハーモニー。不思議というか、どことなく変な響きに聴こえないだろうか。
↓………ここから続き………
試聴リンク再生時間「0:05」の歌い出しから、ポールの高音が、意図的に調子っぱずれの音(G)で歌っていて大げさに言えば不協和音になっている。本来なら半音低い「F♯」なのだが、それだと、この型破りのかっこよさにならないのだ(心得のある方は試されたい)。
さらにサビ前の「♪バット・ユー・キャン・ドゥ・サムシング・イン・ビトウィーン」(再生時間「0:16」から)の凝りに凝った変態ハーモニーたるや。これまでのビートルズには明らかになかった響きである。
世界よ。これが中期、第2期だ。
また歌詞も、何というか、大人っぽい。
映画スターになりたいという強気そうな女に「アタイのクルマを運転させたげる」「そしたら、アンタに惚れちゃうかも」と言われる男の話。この女、イメージでいえば、若い頃の加賀まりこだ。
さらにドライヴ/クルマというモチーフには、性的な意味合いも込められているらしい。
でも加賀まりこ、次にこういうのだ──「でもアタイ、クルマ持ってないのよ」。かっこいい。きゃー、まりこ様!
と、まりこ様はともかく、『ラヴ・ミー・ドゥ』から全曲論評してきた筆者としては「ビートルズ、大人になったなぁ」としみじみする。読者よ、これが中期、第2期だ。
間奏のギターソロの最後が、すーっと音が上がっていく不思議な音になっている。このパートは、指に金属や瓶をはめて指板をすべらせるスライドギターで弾かれている。
「さすがジョージ、後にスライドギターの名手となるだけあってうまいなぁ」と今の今まで思ってきたのだが、弾いているのは何とポールとのこと。こんな感じでポールが出しゃばり始めて、ジョージとの関係が徐々に険悪になっていくのも、中期、第2期だ。
という『ドライヴ・マイ・カー』、アルバム1曲目にして、アルバムベスト曲である。
■大阪・梅田に再降臨!トークライブ「スージー鈴木が大阪に帰って来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!」チケット発売中!詳細はこちらから
■「日本の新しい音楽1975~ "New Music" from 1975」発売!
スージー鈴木氏の大好評連載が書籍化されました!Amazonでも好評発売中です!
■好評連載「沢田研二の音楽1980-1985」をまとめた「沢田研二の音楽を聴く1980-1985」(日刊現代/講談社)発売中!



















