細田昌志ノンフィクション作家
１９７１年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。ＣＳ放送「サムライＴＶ」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。７月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」（新潮社）が、第４３回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。
飯野矢住代誕生秘話<3>「私は二号の娘」発言で世界大会の渡航費が支払われない事態に
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ミス・ユニバース日本代表に選ばれ、世界大会出場の切符を手にしながら、直後の記者会見で「私は二号の娘です」と発言した飯野矢住代は窮地に立たされていた。大バッシングに遭い、世界大会の渡航費も支払われず、出場辞退を勧められ、揚げ句に脅迫される始末である。友人や知人の間を走り回ったが、思うように渡航費は集まらなかった。芸能人や業界人のたまり場となっていた飯倉のイタリアンレストラン「キャンティ」に出入りしていたのだから、どうにかなりそうなものだったが、そうもいかなかった。
理由は矢住代自身の素行にあった。当時、人気絶頂だったザ・タイガースのメンバー「トッポ」こと加橋かつみとの交際が明るみに出ると、彼女の身辺も騒々しくなっていた。ザ・タイガースのメンバー、森本太郎は矢住代についてこう証言している。
「ようジャズ喫茶の楽屋へ遊びにきよったし、かつみが好きやったやろ。オレらの目を盗んで？ ようデイトしよったな」（「ザ・タイガース日本の青春」／日芸出版）
同じくタイガースのメンバーで「サリー」こと岸部おさみ（現在、俳優の岸部一徳）の証言は、彼らが置かれた当時の状況を端的に伝えている。
