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伊藤さとり映画パーソナリティー

映画コメンテーターとして映画舞台挨拶のMCやTVやラジオで映画紹介を始め、映画レビューを執筆。その他、TSUTAYA映画DJを25年にわたり務める。映画舞台挨拶や記者会見のMCもハリウッドメジャーから日本映画まで幅広く担当。レギュラーは「伊藤さとりと映画な仲間たち」俳優対談&監督対談番組(Youtube)他、東映チャンネル、ぴあ、スクリーン、シネマスクエア、otocotoなど。心理カウンセラーの資格から本を出版したり、心理テストをパンフレットや雑誌に掲載。映画賞審査員も。 →公式HP

Kōki,初主演ホラー「牛首村」はG区分、子供から大人まで全年齢OKなワケ

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 大ヒットを記録した『リング』が生み出された1998年以降、Jホラー(ジャパニーズ・ホラー)というジャンルが確立され、『リング』や『呪怨』(ビデオ版2000年、劇場版2003年)『仄暗い水の底から』(2002年)『女優霊』(1996年)『回路』(2001年)『着信アリ』(2004年)はハリウッドリメイクされるまでに至りました。

 しかも『呪怨』に関しては、トビー・マグワイア版『スパイダーマン』シリーズの監督でもあり、『死霊のはらわた』をはじめとするホラー映画を撮ってきたサム・ライミ監督が気に入り、ハリウッドリメイクをオリジナル版の清水崇監督にメガホンを取ってもらい、自分が製作プロデューサーを務めるというドリームプロジェクトを立ち上げました。

 その結果、主演のサラ・ミシェル・ゲラーが来日し、清水崇監督と共にハリウッド映画『THE JUON/呪怨』(2004年)の記者会見を行なったのは今でも鮮明に思い出されます。

■Jホラーからティーンホラーへ 注目の木村拓哉・次女Kōki,も出演

 そんなJホラーが、今はティーンホラーという形を変えて清水崇監督自身の手によって再び話題を呼んでいます。そのスタートは2020年2月に公開された『犬鳴村』で、興行収入14.1億円という大ヒットを記録。続く『樹海村』は2021年2月というコロナ禍での公開でありながら、日本に実在する心霊スポットを舞台にした映画「恐怖の村」シリーズとして期待を集めました。

 そして、第3弾となる『牛首村』がいよいよ2022年2月18日に全国公開を迎えます。その物語は、富山県魚津市に実在する北陸最強心霊スポットを舞台に、自分とそっくりの少女が失踪した心霊動画の謎を探る為に坪野鉱泉へと向かった女子高生の運命を描いたショッキングホラーになっており、俳優・木村拓哉と歌手・工藤静香の次女でモデルのKōki,(18)が映画初出演・初主演を務めることでも注目されています。

若者のグロ離れ? 見せないホラー

 実は興味深いことに、この3作品全てレイティングは「G」表記。つまり、子供から大人まで年齢関係なく見られるというホラーなのです。個人的には刺激が強いので小学生にはお勧めできないものの、なぜ、これらが「G」区分になったのか『牛首村』で検証してみると、残虐な映像表現を使わないという細部までのこだわりに気づかされました。

 たとえば、幼い子供の死体は映さずにその後の展開を想像させる手法を使ったり、直接的な映像を見せない、つまりグロテスクなシーンが無いということなんです。確かにホラー映画は、ついグロさを表現したくなるジャンルかもしれませんが、今の若者たちはグロさを嫌う傾向が強く、その表現が予告にあるだけで足が遠のくと言われています。

 私もあくまでもお化け屋敷に入る感覚で映画館に来ていると考えるならば、グロさは必要ないものと個人的には思います。そしてこのシリーズの魅力はハリウッドの人気ホラー『死霊館』シリーズのように、人生の学びを織り込みつつ、ラストにはカタルシス効果まで味わえるというところではないでしょうか。

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