伊藤さとり
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伊藤さとり映画パーソナリティー

映画コメンテーターとして映画舞台挨拶のMCやTVやラジオで映画紹介を始め、映画レビューを執筆。その他、TSUTAYA映画DJを25年にわたり務める。映画舞台挨拶や記者会見のMCもハリウッドメジャーから日本映画まで幅広く担当。レギュラーは「伊藤さとりと映画な仲間たち」俳優対談&監督対談番組(Youtube)他、東映チャンネル、ぴあ、スクリーン、シネマスクエア、otocotoなど。心理カウンセラーの資格から本を出版したり、心理テストをパンフレットや雑誌に掲載。映画賞審査員も。 →公式HP

志尊淳初監督作品も! 山田孝之さんら「MIRRORLIAR FILMS」が取っ払った“垣根”とは

公開日: 更新日:

「垣根なんてそもそもないんですよ」

 そう山田孝之さんは『MIRRORLIAR FILMS Season2』完成披露試写会の控え室で私に言いました。そんな山田さんがプロデューサーとして、俳優仲間の阿部進之介さん、and picturesの伊藤主税さんと立ち上げたのが短編映画製作プロジェクト『MIRRORLIAR FILMS』。「だれでも映画を撮れる時代」を目指し、現役監督から俳優、漫画家、ミュージシャン、更には一般応募の中から選ばれた人々という年齢も性別も国籍も職業もプロもアマチュアも関係なく同じスクリーンの中を使い、15分以内で作られた短編を上映するという取り組みです。

 私たちはつい無意識に、国籍をボーダー(境界線)のように括ったり、職業で他人の見方を変えてしまいがちです。しかし、そもそも一人の人間として見たら、それぞれが歩んだ人生が違えば、描かれるものも興味を持つ題材も異なるのだから、肩書きや括りに引っ張られ、それらを色眼鏡で見てしまう私たちは愚かなのかもしれません。

 人間の頭を冷やすような試みを思い付いた山田さん含める製作陣が今回、声をかけたのは『CASSHERN』(2004)の紀里谷和明監督、『幼な子われらに生まれ』(2017)の三島有紀子監督、『タイトル、拒絶』(2020)の山田佳奈監督、その他、“選定クリエイター枠”として419作品に及ぶ応募の中から選ばれた、Azumi Hasegawaさん、柴田有麿さん、駒谷揚さん、そして俳優陣には、プロジェクトメンバーの阿部進之介さん以外にも志尊淳さんと柴咲コウさん、という映画界のトップランナーの名がありました。

志尊淳、柴咲コウ、阿部進之介ら俳優陣が見た“いのち”

 本企画が立ち上がった際に、自由に映像表現するよりも題材があったほうが皆、撮りやすいのではとの考えで、“変化”というテーマが設けられました。まさにクリエイターの現時点での内面の変化が映像としてスクリーンに映し出されるわけですが、今回、初監督を努めた3人の俳優作品には意外にも共通点があり、それは「いのち」が物語の中核にあるということでした。

 まず阿部進之介監督作品『point』では、家族の遺灰をまきに日本にやってきた外国人青年と孤独な男との必然的な出会いを綴ったもので、柴咲コウ監督作品『巫. KANNAGI』では父を亡くし、母と2人暮らしの幼い少女の姿を通して貧困問題に切り込むという現代社会に問題を提起する作品だったのです。

 特に驚かされたのは志尊淳監督の『愛を、撒き散らせ』という作品です。それはさまざまな悩みを抱く人を支えようとする主人公が取った一本の電話から、顔の見えない2人が孤独と向き合うという内容で、“孤独”が人の心を蝕み、人とのつながりが“いのち”を灯すのだと伝えるものでした。

■コロナ禍、無縁社会、貧困…すぐそこにある社会問題に変化を

 事実、コロナ禍で自殺者が増加したことも発表されており、その原因は、主に孤独感や失業、うつ病などの精神疾患を患っている場合も少なくないと言われています。さらに新型コロナウイルス感染症は、ひとり親家庭にも影響を与えており、解雇されたことで経済的に厳しい状況を強いられる低所得の子育て世帯も存在します。

 それらの社会問題に目を向けた影響力ある俳優たちの心の“変化”を映し出した映像作品が、彼らのファンはもちろんのこと、より多くの観客に届き、人々の琴線に触れることで、他者へ手を差し伸べる社会へと変移することを私は熱望します。

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