尾崎豊は4月で没後30年 「色あせない魅力」の源泉とライブアルバムの聴きどころ

公開日: 更新日:

■石川啄木に通じる感性

「CBSソニーのプロデューサーだった須藤晃氏は尾崎に1冊のノートを渡し、『何でもいいから、今胸の内にあるものを書いてごらん』と言ったそうです。すると、普通ならば見過ごしたり、そういうものだと思っているような物事を真剣に考えるような散文を書いてきた。尾崎は石川啄木が好きだったそうで、須藤氏は夭折した歌人の感性と相通じるものを感じたそうです」

 やがて散文詩のようだった言葉が作詞となり、ギターをかき鳴らして歌い、曲になる。

「ファーストアルバムの『十七歳の地図』は中上健次が寄る辺のない若者の鬱屈を描いた『十九歳の地図』へのオマージュ。須藤氏がどこか通じるところを感じて提案すると、尾崎も気に入ってタイトルにしたそうです」

 このタイトルをもとに尾崎がイメージを膨らませた楽曲「十七歳の地図」の歌詞を見て、思わず須藤氏は息をのんだという。

「歩道橋の上で振り返ると、焼けつくような夕日があり、心の地図の上で起こる全ての出来事を照らすんだというサビ。昇る朝日ではなく、沈む夕日に着目し、そこに躍動する生命を感じるとは、なんて凄い才能なんだと驚きを語っていました」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  2. 2

    長嶋茂雄引退の丸1年後、「日本一有名な10文字」が湘南で誕生した

  3. 3

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  4. 4

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  5. 5

    ドジャースが村上宗隆獲得へ前のめりか? 大谷翔平が「日本人選手が増えるかも」と意味深発言

  1. 6

    「日中戦争」5割弱が賛成 共同通信世論調査に心底、仰天…タガが外れた国の命運

  2. 7

    レーダー照射問題で中国メディアが公開した音声データ「事前に海自に訓練通知」に広がる波紋

  3. 8

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  4. 9

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  5. 10

    巨人が現役ドラフトで獲得「剛腕左腕」松浦慶斗の強みと弱み…他球団編成担当は「魔改造次第」