「ダメなら…潔く辞めればええやろ」 “ノムラの金言”は俺の考え方を百八十度変えた
「ノムラの金言」
野村克也監督が残した言葉の数々を、周囲はそう呼ぶ。
俺も楽天で指導を受けるようになり、多くの金言をもらった。
「まずは野球を好きになりなさい」
監督と話すようになって早々に言われた言葉だ。俺が野球を楽しんでいないことを見抜いていたのだ。思い返せば、高校時代から心から楽しんで野球に取り組んだことなんてなかった気がする。
プロに行ってからは野球が仕事になり、「メシを食うための職業」になっていた。若手の頃は二軍暮らしが長かったこともあり、一軍で活躍する先輩たちを見ては羨ましがった。
「早くたくさん稼いで、ぜいたくしたい。大きな家を買いたい。いい車に乗りたい。キレイな奥さんをもらいたい」
モチベーションはお金。成績は二の次だった。お金が先か成績が先か。俺は若い頃は「お金が先だ!」とギラギラした気持ちでもいいと思っている。お金を稼ぐには、成績を残さなきゃいけない。何でも欲しがらなければ手に入らない。若い時は物欲のために野球をするのもアリだと思う。
「とにかく数字を残さないといけない。お金はあとからついてくる」
1996年に本塁打王を取って2、3年後にはそう考えるようになっていた。チーム内で責任ある立場になり、「いや、お金じゃねえな。成績や周りからの評価がお金だよね」と、考え方がひっくり返ったのだ。
ただ、野球はまったく楽しくなかった。本塁打王を取ったときでさえ、うれしかったが楽しさはなかった。結果が求められる立ち位置になれば失敗は許されない。プレッシャーも大きくなっていく。
中日で指導を受けた星野仙一監督には三振すれば怒鳴られ、罰金を取られた。三振を恐れるあまり、バットが出ない「打撃イップス」にまでなったこともある。
ベテランになっても「三振恐怖症」は治っていなかったのだろう。野村監督がこう聞いてきた。
「何でそんなに三振を怖がるんだ」
「2ストライクに追い込まれても、ゴロを転がせば相手がエラーするかもしれません」
「俺はおまえにそんなことは求めとらんよ。三振、大いに結構。いくらでも三振してこいよ」
「え?」
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