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井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

「ドライブ・マイ・カー」を見たが…映画は一場面でも笑ってもらってナンボだろが

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 世知辛いのは、動画や音楽の定額ネット配信、サブスクリプション(サブスク)という「定期継続購入」のサービスだ。1週間や1カ月間、無料お試し期間とうまく誘って、アドレスやパスワードと一緒に銀行口座を書かせて契約させ、期間内に解約しないと1カ月、下手をしたら1年単位の有料プランに切り替えられて課金される。サービスどころかずるいシステムだ。お試し視聴で、ひと月経つ間に「期限切れます」とも伝えてこないし、見ないまま解約し忘れてしまうのをいいことにカネだけ引き落とされ続ける。コロナ上陸の頃、友人が無料お試しで「北陸代理戦争」など2、3本見たきり、解約し忘れてたら、月2000円ほどを2年間も気づかず課金されてたというのだ。笑ってやったが。

 まったく笑いも泣きもできず、血も騒がず肉も固まってしまったのは「ドライブ・マイ・カー」という賞騒ぎの邦画だ。アカデミー候補になったというが、ちょっと待ってくれ。オレには散々だった。ただ陰気な恨めしい顔した男や女に3時間もつき合わされて、何の感情も湧き起こらずじまいで不可解でならなかったのはオレだけか。原作が村上春樹、チェーホフの演劇ネタ、幼子を亡くした妻や不幸な女、アジア人、障がい者、皆が何かに悩んでるという項目を並べたら海外の映画人に受けるというのだけは分かったが。楽しくも何ともない「悩みの相談室」みたいな映画研究会モノは苦笑いもできなかった。映画は一場面でも笑ってもらってナンボだろが。

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