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井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

北京五輪の花火「天下一家」とは笑った。どこかの田舎のネズミ講か

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 ウクライナ侵攻のニュースにはうんざりだが、歴史の悪夢は見届けるしかないし、CNNの日本語版放送もつけっ放しにしている。8年間の紛争の中、ドネツクとルガンスク地域の独立をロシアは勝手に承認し、そして侵攻した。忌まわしいが見つめてるしか能がないのがまた苛立たしい。

 かつて、大日本帝国という国が中国東北部の満州に侵略し、あっという間に傀儡満州国までつくって、ドイツのナチスはポーランドを侵攻占領し、その帝国たちは結託までして領土拡大を企んで世界大戦をひき起こしたのは100年近く前だが。今のロシアも同じことをウクライナにしかけているわけだ。

 帝国主義者や独裁者は消え去らない。プーチンは中世の国盗り物語のような妄執の中にいて、目覚めるつもりはなさそうだ。彼とその盲従者たちはウクライナを国と認めず、「ロシアの家族だ」と言い張っている。おまけに、ロシアには「ニューパトリオット」という新世代の愛国者たちが大勢いて、ウクライナを征服しろとせき立てているようだ。

 ソビエト連邦が崩壊して何十年経とうと、秘密警察KGB上がりのプーチンはいまだに帝国の覇権者でいたいのだ。最高権力を使って金儲けも好きなだけして、宮殿のような大邸宅でぜいたくしてきたのに、他に何が欲しいのかと誰もが思う。でも、隣国の東部だけでも囲っておきたいのはなぜか。それは欧米からの「民主主義」の自由と平等と人権というものがロシア国民に伝染していくのが怖いからだ。独裁がやりにくくなるどころか、民主政権に取って代わられたら最後、それまでの大統領の悪行も暴かれるだろう。だから、ウクライナの欧米民主主義が邪魔だし、ただの国盗り合戦じゃないのだ。ロシア国民から「戦争反対」のデモ一つ起きないのも、独裁の故だろう。

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