渡辺真知子さんを「行け!」と羽ばたかせてくれたのは、中島みゆきさんだった

公開日: 更新日:

渡辺真知子さん(シンガー・ソングライター/66歳)

「迷い道」「かもめが翔んだ日」などのヒット曲で知られる渡辺真知子さん。デビュー45周年を迎え、9月にシングル「二雙の舟/カナリア」をリリースした。両曲とも、3年前に出演した中島みゆきの代名詞ともいえる舞台「夜会」が縁で実現したもの。舞台は体が悲鳴をあげるほど超ハードなものだった。

 ◇  ◇  ◇

 中島みゆきさんとの出会いはずっと昔で、ヤマハのポプコン(ポピュラーソングコンテスト)が初めてでした。1975年の春と秋にみゆきさんと一緒に2回続けて出場し、私は第9回で「特別賞」を受賞し、みゆきさんは「時代」(第10回)でグランプリを受賞しました。

 みゆきさんは私より4つ年上でとてもお姉さんに思えましたね。「時代」はとにかく圧倒的な曲ですから、グランプリは「堂々の」という形容がふさわしい感じでした。その時にどんな会話を交わしたのかはっきり覚えていませんが、みゆきさんに「真知子ちゃん、真知子ちゃん」と呼ばれたのだけは覚えています。

 77年、私は「迷い道」でデビューしましたが、なぜかお目にかかる機会がなく、2019年のみゆきさんの舞台「夜会」(vol.20「リトル・トーキョー」)で声をかけていただき、四十数年ぶりに再会しました。「夜会」はみゆきさんが自ら脚本を書いて舞台で歌う、ライフワークといえる大切な舞台。私が出演した回は光と影の対照的な2人のお話で、みゆきさんが影。私が光。なぜ? ですが、私がオリジナルの他にジャズやラテンを歌う姿を見て、「光をやる人がいた!」という感じだったのかなと思います。

 その「夜会」では私は全20公演に出演しました。みゆきさんの頭の中にある宇宙を、みんなでどれだけ具現化できるかという舞台なので、出演者のモチベーションは普段のステージとは全然違っていましたね。

 舞台稽古の時にみゆきさんは私のために時間を割いて「言いたいことがあったら遠慮しないで言っていいのよ」と言ってくれたんです。私の持ち味を認め「渡辺、行け」と羽ばたかせてくれた感じで、最初にイメージしていたよりももっと大きな人でしたね。

 ステージは6度の傾斜がついていて、斜めで踊ったり、階段の上り下りもありましたが、みゆきさんはお客さまが見やすくわかっていただけるように気を配っていらっしゃいました。みゆきさんは本当に愛情が深くてしかも温かい。わからないことがあったら人任せにせず、全部自分で調べるストイックな方です。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志氏はパチプロ時代の正義感どこへ…兵庫県知事選を巡る公選法違反疑惑で“キワモノ”扱い

  2. 2

    タラレバ吉高の髪型人気で…“永野ヘア女子”急増の珍現象

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  5. 5

    《#兵庫県恥ずかしい》斎藤元彦知事を巡り地方議員らが出しゃばり…本人不在の"暴走"に県民うんざり

  1. 6

    シーズン中“2度目の現役ドラフト”実施に現実味…トライアウトは形骸化し今年限りで廃止案

  2. 7

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    大量にスタッフ辞め…長渕剛「10万人富士山ライブ」の後始末

  5. 10

    立花孝志氏の立件あるか?兵庫県知事選での斎藤元彦氏応援は「公選法違反の恐れアリ」と総務相答弁