(1)薬が消える…戦争がもたらす「薬飢饉」

公開日: 更新日:

 第二次世界大戦後、国際社会は「力による現状変更」を禁じることで秩序を維持してきた。しかし近年、その前提は揺らぎつつある。トランプの米国、プーチンのロシア、習近平中国など、大国が軍事力・経済力を背景に資源獲得競争に血道を上げて勢力圏を争う構図は、かつての「力こそすべて」の時代を想起させる。戦争はもはや過去の出来事ではない。私たちは「戦争前夜」とも言いえる不安定な局面に立っているとの見方もある。

 こうした中で見落とされがちな視点がある。「戦時の健康」だ。現代日本では、健康は医療によって守られるものと考えられている。体調を崩せば病院に行き、薬を処方される。感染症は抗生剤で抑えられ、慢性疾患は継続的な投薬で管理される。しかしこの前提は極めてあやうい。

 戦時にまず起きるのは、医薬品の供給網の崩壊だ。輸入原料は途絶え、国内生産は軍需に優先され、輸送インフラの破壊で流通も滞る。こうして生じるのが「薬飢饉」だ。これは比喩ではなく、実際に解熱剤や鎮痛剤といった基本的な薬でさえ不足し、人々は代用品や民間療法に頼らざるを得なくなる。結果として、本来救えた命が失われていく。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本ハムは「自前球場」で過去最高益!潤沢資金で球界ワーストの“渋チン球団”から大変貌

  2. 2

    新庄監督にガッカリ…敗戦後の「看過できない発言」に、日本ハム低迷の一因がわかる気がした

  3. 3

    高市首相が天皇皇后のお望みに背を向けてまで「愛子天皇待望論」に反対する内情

  4. 4

    和久田麻由子アナがかわいそう…元NHKエースアナを次々使い潰す日テレの困った“体質”

  5. 5

    細木数子と闘った作家・溝口敦氏は『地獄に墜ちるわよ』をどう見たか? “女ヤクザ”の手口と正体

  1. 6

    佐々木朗希vsシーハン 「マイナー落ち」めぐるドジャース崖っぷち2投手がちんこ勝負

  2. 7

    あの細木数子をメロメロにさせて手玉に…キックボクサー魔裟斗のシタタカさ

  3. 8

    大和証券グループ「オリックス銀行を3700億円で買収」の皮算用

  4. 9

    「浜崎あゆみの父が見つかった?」と一部で話題に 本人がかつてラジオで明かしていた「両親の離婚」

  5. 10

    “幼稚さ”露呈した佐々木朗希「報奨金事件」…ド軍日本人スタッフ2名が「7000万円超」もらえず?