続く十三代目團十郎の襲名披露 12月の歌舞伎座には「3つの時間」が交差している

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玉三郎と同じ空気を共有した9歳の新之助

 最後が先月と同じ「助六由縁江戸桜」。配役を変えての上演だ。助六は團十郎だが、揚巻を5日から15日までが玉三郎、16日から26日までが中村七之助というダブルキャストだ。他もかなり入れ替わっている。菊之助と七之助には、これからも揚巻を演じる機会はあるだろうが、玉三郎は、これが最後になるだろう。

 十三代目が04年に海老蔵を襲名したときの揚巻が玉三郎と菊之助だった。2人が揚巻で十三代目と共演するのはそれ以来だ。さらに玉三郎の揚巻は、2010年4月の、前の歌舞伎座のさよなら公演以来でもある。

 13年の再開場公演では、揚巻は中村福助だったので、この時点で、玉三郎はもう揚巻を演じないのだろうと思われていた。それが今回、実現した。成田屋の襲名では当代一の女形が揚巻を演じなければならないからだ。そして、これが最後の揚巻だろう。

 9歳の新之助も、「助六」を劇場のどこかで見ているはずだから、玉三郎と共演はしていなくても、同じとき、同じ場所、同じ空気を共有したことは、きっと意味がある。今月の歌舞伎座には、ここで終わるものと、いまこのときと、ここからはじまるものという、数十年の時間が交差し、凝縮されている。

(作家・中川右介)

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