NHK紅白は視聴率ワースト2位で土俵際…歌合戦→国民的音楽番組に生まれ変わるための課題

公開日: 更新日:

一部メディアを除きリハーサル取材から完全シャットアウト

 “歌をしっかり聴かせる音楽番組”に徹していた点については、同志社女子大学教授(メディア論)の影山貴彦氏も評価する。

「地上波民放各局が『逃走中』『鬼退治』と及び腰で臨んだ年越しで、あえて“逃げずに”紅白の王道を死守したことは及第点に値するでしょう。内容的にもトークや人物紹介などで時間を費やすことなく、シンプルに歌をしっかり聴かせていた。

 中でも印象に残ったのは、司会では橋本環奈さん、歌手では篠原涼子さん。橋本さんのMC力は予想以上でしたし、篠原さんはドラマ『silent』で目黒蓮さんのお母さん役で暗い役どころを好演していただけに、紅白では衰えぬ歌唱力を見せたのも若者も関心を持つ演出だった。紅白のジェンダー問題も『蛍の光』を先に流し、最後の最後で結果発表することで勝負の印象を弱める演出もさすがでした」

 しかしながら、影山氏は、そのあり方には課題も見えるとしてこう続けた。

「ただ今回は情報をかなり絞っていたせいか、若者の見るようなLINENEWSなど、SNS系のニュースにも紅白の話題が上がっていないのが……。情報をもっとオープンにしていたらもう少し拡散できたのでは。今回は粘り腰でも、これを何年も続けるわけにはいかず、変革を求められているのは確か。次のステージを考えるべきときは目前ではないでしょうか」

 実は今回からスポーツ紙など一部のメディアを除き、日刊ゲンダイを含む雑誌やWEB媒体などはリハーサルなどの取材から完全シャットアウトだった。ヨイショだらけのちょうちん記事を垂れ流すメディアだけを選別するとは“みなさまのNHK”という公共放送の原点が疑われる由々しき事態である。

「国民的音楽番組」に向け変革中であるなら、大衆に向けてオープンであることが必須条件。NHK紅白はその存在意義も含めてすでに土俵際、いや徳俵に足がかかっていることを自覚すべきだ。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    亡き長嶋茂雄さんの長男一茂は「相続放棄」発言の過去…身内トラブルと《10年以上顔を合わせていない》家族関係

  2. 2

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    「時代と寝た男」加納典明(17)病室のTVで見た山口百恵に衝撃を受け、4年間の移住生活にピリオド

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  2. 7

    “バカ息子”落書き騒動から続く江角マキコのお騒がせ遍歴…今度は息子の母校と訴訟沙汰

  3. 8

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 9

    「こっちのけんと」の両親が「深イイ話」出演でも菅田将暉の親であることを明かさなかった深〜いワケ

  5. 10

    中居正広氏に降りかかる「自己破産」の危機…フジテレビから数十億円規模損害賠償の“標的”に?

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?