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増田俊也小説家

1965年、愛知県生まれ。小説家。北海道大学中退。中日新聞社時代の2006年「シャトゥーン ヒグマの森」でこのミステリーがすごい!大賞優秀賞を受賞してデビュー。12年「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で大宅壮一賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞。3月に上梓した「警察官の心臓」(講談社)が発売中。現在、拓殖大学客員教授。

「時代に挑んだ男」加納典明(58)「『俺との喧嘩』が一生のテーマ。おまえは誰だという自己検証を続けている」

公開日: 更新日:

 作家・増田俊也氏による新連載スタート。各界レジェンドの生涯を聞きながら一代記を紡ぐ口述クロニクル。第1弾は写真家の加納典明氏です。

  ◇  ◇  ◇ 

増田「そういった精神的渇きを覚えるとき、クリエーター、芸術家としての典明さんの他に人間的な典明さんも出てくると思うんです。そういった渇きが出たとき、孤独感のようなものは出てきませんか」

加納「いや、それはないな。俺は、俺との喧嘩っていうのが一生のテーマだから俺がいれば俺だけじゃないってことになる」

増田「自己との喧嘩……哲学的ですね」

加納「俺がいれば俺自身も目の前にもう1人いるわけだ。だからそいつとの喧嘩、おまえとは誰なんだという自己検証っていうか、そういうのをし続けてるから孤独は感じないんだよ」

増田「もう1人の自分と一緒にいる感覚なんですね」

加納「俺は女性も含めていろんな人と付き合ってきたし、いろんな業界の人とも付き合った。付き合えば付き合うほど、その人、それからその人が住む社会、そういうことを自分の中に持ち込むわけ」

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