五反田「大衆魚酒場 福松」マグロの目玉周りのゼラチン質もタレをかけたご飯もサイコー

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 アタシの主戦場が五反田界隈なので、どうしても取り上げる店が増えてしまう。ご容赦ください。

 とはいっても、実際のところ五反田の進化は目を見張るものがあり、この街を歩くのはことのほか楽しいのです。かつてのゆうぽうとの跡地に新しい複合ビルがオープンしてからまだ1年半ほどしかたっていないが、そこには評判の店が多く入っているフードコートや、階上には外国人に人気のおしゃれなホテルもあり、すでに新たな人気スポットになっている。昔、目黒川沿いは暗くて怪しい場所だった。ソープランドのネオンが堂々と線路脇にきらめいていたり、首都高側には風俗ビルも多く、ポツンポツンと怪しげな女性が所在なくたたずんでいる姿を目にすることも少なくなかった。例の大掛かりな地面師事件もこのあたりだったし。

 が、今ではそんな雰囲気はみじんもない。そのかつて暗かった一角にアタシが最近気に入っている酒場がある。大衆魚酒場福松だ。最近五反田で多く見かけるのはもつ焼きや肉がメインの店ばかり。もちろんもつ焼き大王のアタシとしては大歓迎なのだが、うまい魚で一杯っていうときの店が少ない。このトシになると何でもありの店の刺し身は食いたくないしね。ちょっとわがままな還暦男。そんな五反田で福松が創業したのが10年前。今では老舗の貫禄すら漂う名店の雰囲気を醸し出している。

 魚を食べさせる店はどうしても和食割烹テイストになりがちで、しゃれた器に刺し身がちょこっと……みたいな。アタシとしては野趣あふれる漁師料理的な肴で酒をあおりたいわけ。ここ福松はまさにそんな店。網元のような大きな看板の周りに提灯が並び、縄のれんが下がっている。その外観はいかにもうまい魚でうまい酒を飲ませてくれそうな雰囲気。酒好きは素通りできないやね。店内には大漁旗が飾ってあり、客席から見えるところに神棚が鎮座している。大事だね。アタシは軽く一礼して席に着く。アタシの好みはマグロの目玉煮付け(850円)とマグロレアかつ(1180円)。それと塩マグロ刺し(890円)も欠かせない。

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