著者のコラム一覧
佐高信評論家

1945年山形県酒田市生まれ。「官房長官 菅義偉の陰謀」、「池田大作と宮本顕治 『創共協定』誕生の舞台裏」など著書多数。有料メルマガ「佐高信の筆刀両断」を配信中。

美空ひばりの歌声に震えた「バナナ・ボート」のハリー・べラフォンテ

公開日: 更新日:

 ひばりは会うと、とっておきの隠し芸を披露した。父親から習ったという三門博の「唄入り観音経」である。伴奏なしの切々たる口演はベラフォンテだけでなく、竹中をも震えさせた。

 竹中は「それはもう凄いというより他に表現のしようもない。天来の調べであった。ベラフォンテほどのうたい手が圧倒されて声もなく、涙ぐんで聞き呆けていた」と書いている。

「あなたも何か?」と促されたベラフォンテは首を振って言った。

「今夜はうたえません。この唄を聴いたあとでは」

 それはお世辞ではなかった。レパートリーに組んでいた日本の歌を、「さくらさくら」のオープニング以外はすべてやめたいと言い、そうしたからである。

 「彼女の民謡を聴いたので、私はニッポンの聴衆の前でこの国の歌をうたうことがとても恥ずかしくなった」

 フォルク・ローリコ、スペイン風に土着のうた、”民謡”とベラフォンテは言ったという。


 この潔さもさすがに世界のベラフォンテなのだろう。代表的な歌の「バナナ・ボート」 はジャマイカ人の労働歌で、もうじき日が昇る。オイラは辛い仕事を終えて家に帰りたいんだ。伝票をつける人よ、バナナを数えてくれ」といった歌詞である。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    本命は今田美桜、小芝風花、芳根京子でも「ウラ本命」「大穴」は…“清純派女優”戦線の意外な未来予想図

  1. 6

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  2. 7

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  3. 8

    石破首相続投の“切り札”か…自民森山幹事長の後任に「小泉進次郎」説が急浮上

  4. 9

    今田美桜「あんぱん」44歳遅咲き俳優の“執事系秘書”にキュン続出! “にゃーにゃーイケオジ”退場にはロスの声も…

  5. 10

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃