怪我人続出の森保ジャパン 選考基準「冨安方式」を読み解く【15日午後2時にW杯メンバー発表】
15日のW杯北中米大会に臨む日本代表メンバー発表を控え、最後の週末が終わった。
怪我で離脱中の選手の招集に関して、森保一監督は次のような指針を示していた。
「(メンバー発表前に)数試合に出ていないとかなりきついかな、と」
指揮官のフィルターを通して9、10日に国内外で行われた試合を見る。 怪我人のなかでピッチに立ったのは、復帰2試合目で先発を果たしたDF長友佑都(FC東京)だけだった。
東京ヴェルディとのJ1百年構想リーグ地域リーグラウンドEASTグループ第16節で、主戦場としてきた左サイドバックで後半32分までエネルギッシュにプレー。存在感を示した長友を、試合会場の味の素スタジアムに視察に訪れた森保監督もしっかりとチェックしている。
対照的にヨーロッパ組で離脱中だった選手で、ピッチに立ったのは一人もいなかった。
万全な状態ならば最終ラインの中心を担う存在の両センターバック(CB)、冨安健洋と板倉滉(アヤックス)は、10日のユトレヒト戦をともにリザーブのままで終えている。
MF南野拓実(モナコ)とCB町田浩樹(ホッフェンハイム)、そしてキャプテンのボランチ遠藤航(リバプール)は、いずれも戦列復帰へ向けたリハビリに必死な状況だ。
さらに直近になって、新たに2人の怪我人が加わった。MF鈴木唯人(フライブルク)は3日のヴォルフルブルク戦で負傷退場。右鎖骨骨折と診断されて緊急手術を受けた。
9日には代役が利かない存在の一人、MF三笘薫(ブライトン)がまさかのアクシデントに見舞われた。ウルヴァーハンプトン戦で先発した三笘は後半10分、縦へのロングパスを追った際に左太ももの裏を押さえて自らプレーを中断。ピッチ上で治療を受けるも直後に交代した。
ブライトンのファビアン・ヒュルツェラー監督は試合後、左ハムストリングを痛めたと明かした上で「あまりいい状態には見えなかった」と三笘の状態に言及した。しかし、この原稿を書いている時点で怪我の詳細は全治期間などを含めて発表されていない。
これだけの離脱者を抱えた状態で、森保監督はどのようにチームを編成していくのか。
実は4月の段階で、指揮官はもうひとつの選考指針になりうる言葉を残していた。
「最終的にどのような判断を下すのかはメディカルスタッフと相談してからになりますけど、彼がいい状態でプレーできるのであれば(現時点で)100%じゃなくても、大会期間中に100%の状態にもっていける計算が立つのであればもちろん(招集を)考えていきたい」
彼とは冨安を指す。怪我の連鎖に苦しめられてきた冨安は、2025年7月にアーセナルとの契約を解除。所属クラブなしの期間をへて同12月にアヤックスと契約し、今年2月1日のエクセルシオール戦で途中出場して実に484日ぶりとなる実戦復帰を果たした。
森保監督はスコットランド、イングランド両代表とともに敵地で対戦した3月の国際親善試合シリーズにさっそく冨安を招集した。しかし、遠征前の最後の一戦となった3月22日のフェイエノールト戦で右太もも裏を痛めた冨安は、無念の招集辞退を余儀なくされている。
連勝で3月シリーズを終えた直後。コーチングスタッフらとともに帰国せず、ヨーロッパに残った森保監督はオランダへ足を運び、冨安および板倉と話し合いの場をもっている。
直接、言葉をかわして得た貴重な情報をもとに、W杯期間中に100%の状態でプレーできる姿を前提とした、いわゆる「冨安方式」を代表メンバー選考のなかに組み入れた。 直近の試合でベンチ入りを果たした点からも、冨安と板倉のW杯招集はほぼ当確と言っていいだろう。
同じフィルターが他の戦線離脱組にも当てはめられる。
森保監督はドクターを含めた代表のメディカルスタッフをヨーロッパへ派遣し、当該選手の状態を直接チェックさせている。
2月に左足首を痛めて手術を受けた遠藤に関して、リバプールのアルネ・スロット監督は順調なリハビリをへて、早ければ17日のアストン・ヴィラ戦で復帰できる見通しを明かしている。
昨年末に左膝前十字靱帯断裂の大怪我を負った南野も、ボールを使ったトレーニングを再開させた映像を自身のSNSで公開。
昨年8月に同じく左膝前十字靱帯を断裂した町田も復帰間近だと報じられ、鈴木は手術を終えた直後に早期復帰へ前向きな決意を自身のSNSに綴った。
渡欧中のメディカルスタッフが、最新情報を直接収集する選手たちのリストに三笘も新たに加わった。もっとも、この「冨安方式」を多用すれば、オランダ、チュニジア、スウェーデン代表と対戦するグループステージをしっかりと勝ち抜く上での選択肢が狭まってしまう。
目標として「優勝」の二文字を掲げる北中米大会へ、最終的にどのような顔ぶれを選ぶのか。
理想と現実の狭間で思い悩みながら、森保監督は15日の発表へ向けて最後の決断を下す。



















