著者のコラム一覧
てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。最新著「王者の挑戦『少年ジャンプ+』の10年戦記」(集英社)、伝説のテレビ演出家・菅原正豊氏が初めて明かした番組制作の裏側と哲学をまとめた著者構成の「『深夜』の美学」(大和書房)が、それぞれ絶賛発売中!

ウエストランド井口浩之の舌鋒の鋭さは、くすぶっていた時間の長さが育んだ

公開日: 更新日:

 芸人になってから最初は順風満帆だった。結成わずか4年で「THE MANZAI2012」(フジテレビ系)の「認定漫才師」に選ばれ、翌年には「笑っていいとも!」(フジテレビ系)の隔週レギュラーに大抜擢された。しかし、ここからが「地獄」だったと井口は振り返る。

「人生の主役級の芸能人しか出られない番組。僕らみたいな脇役中の脇役が出ても……見向きもされませんでした。出るだけでは仕事も増えないし、人気者にもなれない」(扶桑社「週刊SPA!」23年1月24日.31日合併号)

 テレビでは売れっ子たちに囲まれ、居場所がなく、ライブでは客から「テレビに出ている人」扱いされ、居場所がない状態になってしまった。そのくすぶっていた時間の長さが、彼の舌鋒の鋭さを育んでいった。

「M-1」に優勝し、事実上、賞レースから卒業しても、事務所のトップの爆笑問題がやっているから仕方ないと悪態をつきながらも、新ネタを作ることはやめないウエストランド。冒頭の番組でも「いいネタができたときに持っていく場所がない」とあまり聞いたことがない種類の悩みを漏らしていた。

 それでもウエストランドにネタのイメージが希薄なのは、その漫才が普段の井口そのものだからに違いない。いまや「主役級」となった彼が、日本一の漫才同様のツッコみを炸裂させているのだから、バラエティー番組で強いのはもはや自明のことなのだ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  3. 3

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  4. 4

    巨人阿部監督はたった1年で崖っぷち…阪神と藤川監督にクビを飛ばされる3人の監督

  5. 5

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  1. 6

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  2. 7

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  3. 8

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  4. 9

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  5. 10

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い