「秀山祭」吉右衛門三回忌追善 松本白鸚の22分“ひとり芝居”に「到達点」を見た

公開日: 更新日:

「金閣寺」は雪姫を、中村児太郎と中村米吉のダブルキャスト。米吉の日に見たが、勝ち気というか強い雪姫で、中村歌六の松永大膳の影が薄い。松本幸四郎の「土蜘」はポスターの写真のほうが、はるかにいい。不気味さが足りない。

 というわけで、1時間以上の「金閣寺」「土蜘」を、22分の「二条城の清正」が吹き飛ばす。これが役者としての格の違いだ。

 夜の部は、まず又五郎・歌昇・種之助、そして歌六による「車引」。歌舞伎座の舞台が広く感じた。みなどちらかというと小柄なほうだが、それだけが理由ではないだろう。猿之助も小柄だが、舞台が広いと感じたことはなかった。

 次が尾上菊之助・丑之助による「連獅子」。もともとは対等の大人の役者が演じていたが、最近は実の父子で演じることが多い。だが、菊五郎・菊之助ではやっていないようだ。菊之助としては2度目の親獅子。パワーというよりも、形の美しさを徹底的に追い求めている。その要求に丑之助が応えている。かわいいとかけなげといったレベルを超えている。

 最後が幸四郎の「一本刀土俵入」。お蔦を演じる中村雀右衛門が久しぶりに芝居を見ている気分にさせてくれる。雀右衛門は長く吉右衛門の相手役をしていたため、最近は大きな役での出番が少なく、もったいない。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    横浜・村田監督が3年前のパワハラ騒動を語る「選手が『気にしないで行きましょう』と…」

  2. 2

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  3. 3

    マツコが股関節亜脱臼でレギュラー番組欠席…原因はやはりインドアでの“自堕落”な「動かない」生活か

  4. 4

    松井秀喜氏タジタジ、岡本和真も困惑…長嶋茂雄さん追悼試合のウラで巨人重鎮OBが“異例の要請”

  5. 5

    巨人・田中将大と“魔改造コーチ”の間に微妙な空気…甘言ささやく桑田二軍監督へ乗り換えていた

  1. 6

    5億円豪邸も…岡田准一は“マスオさん状態”になる可能性

  2. 7

    小泉進次郎氏8.15“朝イチ靖国参拝”は完全裏目…保守すり寄りパフォーマンスへの落胆と今後の懸念

  3. 8

    渡邊渚“初グラビア写真集”で「ひしゃげたバスト」大胆披露…評論家も思わず凝視

  4. 9

    「石破おろし」攻防いよいよ本格化…19日に自民選管初会合→総裁選前倒し検討開始も、国民不在は変わらず

  5. 10

    大の里&豊昇龍は“金星の使者”…両横綱の体たらくで出費かさみ相撲協会は戦々恐々