ファッションデザイナー鳥居ユキさんの「生きる糧」…パリの蚤の市からお酒、男のファッションまで
新しいものを取り入れながら1日1時間ストレッチ
毎日欠かさないのがストレッチ。決まったものじゃなくて、流れの中で新しいものをどんどん加えていく。座ってしゃがんだポーズのストレッチをやっていたら、そこからの流れで新しいストレッチを取り入れたり。
パリでも軽井沢でも場所が変わってもやります。時間にして40分くらい。いろいろ取り入れるからだんだん時間が長くなって、毎日1時間近くやってます。
会社に出る時は6階の自宅からエレベーターは使わず、階段を下りるようにしています。階段を下りるのも運動ですからね。下りていく途中で住人の方に会ったら「エコですか」と言われたので、「自分のためです」って(笑)。エレベーターを使わないのがエコだと思ってるみたいね。最近は階段を下りて新聞を取りに来る男性とか、途中で出会う人が増えました(笑)。
サラリーマンのファッションについて? 昔は普段着はゴルフウエアの延長のような格好しかありませんでした。それで20年くらい前にメンズの「YUKI TORII HOMME」のショーで著名人の方にたくさん出ていただきました。亡くなった志村けんさんにも。志村さんとはあるエピソードもあります。私は、志村さんの「アイーン」というギャグを知らなかったので、志村さんは私に遠慮なさっていたみたいで、普通にランウエーを歩いていらっしゃって、引っ込む時に「アイーン」を瞬間的にやったと、後から教えてもらいました。
ショーに出てくださった方は、初めてのことで緊張しながらも、楽しんでもらうことができました。
服装のポイントは色ですね。メンズのファッションショーでも相手を見て、パープルがいいとか、イエローが似合うと感じとったら、一点は私が感じた色を着てもらいました。ただ、その人に合った色でもスポーツウエアみたいなきつい色や、生っぽい色は安っぽく見えます。オリジナルで染めたシックな色の生地でつくったものを着ていただきました。みなさん「あのパープルがよかった」とか「イエローはよかった」とおっしゃっていました。
パンツはシルエットも大事ですね。太い、細いはその時代にもよりますが、今はダボッとしたのはなくなりました。増えてきたのはスポーツ的なタイプとか、カーゴの系統ですね。
これからのYUKI TORIIは変わっていくことも必要だと思います。変わらないとファッションがつまらなくなってしまうから。でも、ブランドを存続させていくために、オリジナルプリント・ニット・花柄・素材のミックス・上品なかわいらしさというYUKI TORIIのブランドアイデンティティーは、しっかり守っていきたいと思っています。
(聞き手=峯田淳/日刊ゲンダイ)