映画「ゴジラ-1.0」の奥深さ 怪獣映画のセオリーを無視、“盲点”を突いた舞台設定

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口コミは絶賛の嵐

 特攻隊の生き残りである敷島浩一(神木隆之介)は、戦中の混乱の中で出会った大石典子(浜辺美波)、戦災孤児の少女と3人で家族のように暮らしていた。そんな時、東京にゴジラが出現。破壊の限りを尽くす大怪獣に対し敷島は、同じく東京の片隅で生きていた“死にぞこない”の元軍人らと協力し、決死の覚悟で対峙する──。

「日本政府はもちろん、GHQも“知らんぷり”で米軍を出撃させない展開が何より衝撃的です。亡国の危機に為政者が無力・無責任でまるで役立たず、というモチーフは製作中に見舞われたコロナ禍を念頭に置いたものでしょう。しかし、今見ればそれは集団的自衛権や日米安保、防衛費増の欺瞞性を象徴しているようでもあり、大いに考えさせられます。もともと山崎貴監督とそのVFX制作を担う白組は、西武園ゆうえんちのアトラクション『ゴジラ・ザ・ライド 大怪獣頂上決戦』でゴジラそのもの、『永遠の0』(13年)や『アルキメデスの大戦』(19年)では旧日本軍など、本作でも再利用できるCGのモデルを多数保有しており、経験値も豊富です。映像面で不安がない分、脚本の深掘りや改良にリソースを注ぎ込めたわけで、それが本作の奥深い魅力につながっています」(前田氏)

 プレミア公開された米国を含め、観客の口コミは絶賛一色。異色のゴジラ最新作、どこまで快進撃が続くか。

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