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山﨑武司元プロ野球選手

1968年、愛知県出身。86年ドラフト2位で愛工大名電から捕手として中日に入団。外野手に転向し、96年本塁打王(39本)。2003年、オリックスに移籍するも04年に戦力外。05年に新規参入した楽天入団。07年に39歳で本塁打王(43本)と打点王(108打点)。11年オフに戦力外通告を受け、12年に古巣の中日に復帰。13年に現役引退、現在は評論活動などを行う。通算2249試合、1834安打、403本塁打、1205打点、打率.257。

地獄の浜松キャンプでは自分の脇腹負傷にガッツポーズ、束の間の休息が本当に嬉しかった

公開日: 更新日:

 1987年の秋に経験した地獄の浜松キャンプでは、「入団5年目以内の選手は全員、球場から宿舎まで走って帰る」というルールがあった。先輩はバスに乗れたが、若手はバスを禁じられたのだ。

 浜松市営球場から宿舎のグランドホテル浜松まで約7~8キロ。全体練習と陸上トレーニングですでに疲労困憊で、走るというよりは歩いて帰っていた。

 つらい帰り道で唯一の希望だったのは車だった。球場からホテルに帰る途中、坂道を下ったところに並行輸入のスーパーカー屋さんがあった。ガラス越しには、ずらっと並んだ高級外車の数々。当時で約4000万円、今ではプレミアがついて5億円くらいするといわれている赤のフェラーリ「F40」も飾られていて、「うわあ~、かっこいいなあ。乗りてえなあ、欲しいなあ……」と指をくわえて見ていたものだ。

 ある日、寄り道して車を見せてもらったこともあった。そのときはもちろん買えるわけもなかったが、「いつか絶対に買ったるぞ!」と心に誓い、過酷なキャンプのモチベーションにしていた。


 歩くと1時間はかかるので、宿舎に着く頃には時計の針は夜7時を回っていた。ホテルの食事会場はカラッポ。料理はすでに撤収済みで、食べるものは何もなかった。仕方がないので、ホテルの中で夜中まで営業しているレストランに入り、夜食用のラーメンをすすった。ほぼ毎日ラーメンで、今思えば栄養面としてはかなり問題があったと思う。

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