加齢黄斑変性(1)日本人で右肩上がりに急増する3つの理由
「加齢黄斑変性」という目の病気をご存じでしょうか。簡単に説明すると、目の網膜にある「黄斑」に何らかの原因で障害が起こり、視野の真ん中が見えにくくなる病気です。その名の通り老化が原因のひとつであるとされています。
加齢黄斑変性の「黄斑」とは、目の網膜の真ん中にある直径1.5~2ミリ程度のへこみのこと。キサントフィルという色素が豊富にあるため黄色をしています。とても小さなエリアですが、人間が物を見るためには非常に重要な役割を担っています。視野の中に入ってくる細かいものを識別したり、色を見分ける働きをしています。
この病気は、欧米では失明原因の1位となっています。そして、今までは日本人には比較的少ない病気であるとされてきました。ところがこの状況が変わってきています。
1998年の調査では50歳以上の約1%が罹患しており、高齢になるほど増加。国内の推定患者数は、約69万人(2007年)です。98年から07年の9年間で約2倍に増加との報告もあり、まさに右肩上がりで患者数が増えているのです。加齢によりリスクが増える病気なので、日本の超高齢化を考えると患者数が増加するのは当然なのですが、それだけでは説明できない増加ぶりです。