「一銭五厘たちの横丁」児玉隆也著 桑原甲子雄写真

公開日: 更新日:

「一銭五厘たちの横丁」児玉隆也著 桑原甲子雄写真

 写真家の桑原甲子雄氏は、昭和18年、集められたほかの写真家とともに東京・下谷区(現台東区)で出征軍人の留守家族を撮影。戦地に「銃後」の姿を送るためだった。

 その32年後、写真に写る氏名不詳の99家族を捜し、話を聞いた傑作ルポルタージュの復刻。

 ネガ袋に書かれた町名を頼りに、在郷軍人会世話役や町会長、古老を訪ね歩き写真を見せるが成果はゼロ。そんな日々が続いて1カ月後、町の名士の一言でいまは三ノ輪1丁目と変わった金杉下町にたどりつく。教えられた間口9尺の土間をのぞくと、写真に写る女性の30年後の姿があった。

 佐藤トメさんというその女性から写真に写る7家族の名前が分かった。以降、一銭五厘のはがきで出征した兵士と家族の戦中・戦後を描き出す。

(筑摩書房 1100円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松井秀喜氏タジタジ、岡本和真も困惑…長嶋茂雄さん追悼試合のウラで巨人重鎮OBが“異例の要請”

  2. 2

    7代目になってもカネのうまみがない山口組

  3. 3

    巨人・田中将大と“魔改造コーチ”の間に微妙な空気…甘言ささやく桑田二軍監督へ乗り換えていた

  4. 4

    福山雅治のフジ「不適切会合」出席が発覚! “男性有力出演者”疑惑浮上もスルーされ続けていたワケ

  5. 5

    打者にとって藤浪晋太郎ほど嫌な投手はいない。本人はもちろん、ベンチがそう割り切れるか

  1. 6

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  2. 7

    DeNA藤浪晋太郎がマウンド外で大炎上!中日関係者が激怒した“意固地”は筋金入り

  3. 8

    収束不可能な「広陵事件」の大炎上には正直、苛立ちに近い感情さえ覚えます

  4. 9

    横浜・村田監督が3年前のパワハラ騒動を語る「選手が『気にしないで行きましょう』と…」

  5. 10

    吉村府知事肝いり「副首都構想」に陰り…大阪万博“帰宅困難問題”への場当たり対応で露呈した大甘な危機管理